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坂本龍一氏とウスビ・サコ学長の対談講演会、岡本清一記念講座「分断は止められるか -いま、表現と自由を考える-」が開催されました

岡本清一記念講座は、京都精華大学の初代学長である岡本清一の掲げた建学の理念を受け継ぎ、広く普及するために開設した講座です。教育理念「新しい人類史の展開に対して責任を負い、日本と世界に尽くそうとする人間の形成」を検証し、力強く継承することを目的として開催しています。
 
2020年12月19日(土)に、音楽家の坂本龍一氏をゲストに招き、第12回目の岡本清一記念講座を開講しました。
NYを拠点に世界的な表現活動を続けながら社会にメッセージを発信している坂本龍一氏と、アフリカにルーツを持ち、表現・リベラルアーツ・グローバルを教育の中心に掲げる京都精華大学の学長ウスビ・サコが、「人間・差別・表現」をキーワードに今日の世界をひもとき、「表現」と「自由」について語りました。
今回は、講座が始まって以来初となる、オンラインによる開講となりました。新型コロナウィルスが世界中で感染拡大し、世の中が一変した2020年。今この社会をどのように見ているか、その問いから講演会はスタートしました。
 
坂本氏とサコ学長は、まず経済格差による社会の分断に注目します。
人より富を得たい、権力が欲しい、そのような人間の欲望を支えているのは、グローバル資本主義のシステムと指摘。コロナ禍では、あらゆる生活環境が悪化して追い込まれる人がいる一方で、経済活動だけを加速させようとする人もいる、社会の歪みが明らかになりました。サコ学長は「多くの人が今の社会システムを誤ったものだと感じている。人間は、自分たち自身で社会を破壊しているのではないか?この流れを止めることができないのだろうか」と、問いを投げかけます。坂本氏は、「コロナによる変化は、身近な環境や生活、自分たちが暮らす地域を見つめなおす機会にもなった。今こそ立ち止まり、経済資本だけではない価値を考える機会ではないか」と応答しました。
話題は、これからの「表現」のあり方と、その可能性に移ります。
坂本氏は、ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーの音楽が、ナチス・ドイツの政治活動に活用された事例を、自身の「トラウマ」と称して紹介し、表現に社会的意義を求めすぎる現代の風潮に警鐘を鳴らします。「表現は、政治的思想や社会と切り離せないものだが、依存するのではなく自立しなくてはならない」と語りました。そのうえで、自身の姿勢として「発信し続けていきたい。たとえ批判を受けたとしても、自分の思うことを社会に発信していきたい」と、力強く話されました。
サコ学長は、表現も経済システムに依存してしまっているのではないかと指摘。「表現を個人の利益を獲得するツールとして扱うのではなく、例えば盆踊りの音楽のように、コミュニティの繋がりで生み出していくことが、新たな社会を築く大きな一歩になるのではないか」と、これからの表現と社会について、独自の考えを示しました。
最後に、坂本氏から若い人へのメッセージとして、「完璧に意見が合う人間なんていません。伝わらないことは前提で、それでも発信し続けていきましょう。間違いを恐れていたら表現はできません。僕が若い頃は年上の意見など聞きませんでした。作られたシステムを壊していきたいとさえ思っていた。若者たちは僕たち年長者の意見など気にせず、どんどん新しいアイデアを生み出して、社会を変えていってほしい。君たちにはその権利があるのです」と、激励の言葉を述べられました。
 
坂本龍一さん、貴重なお話しをありがとうございました。

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