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「第18回 京都精華大学 芸術研究科 博士後期課程1年生 2020年度報告会」を開催

京都精華大学大学院芸術研究科は「新しい芸術」の構築とそれを担う人材の養成を目標としています。現代における多種多様な表現ジャンルを整理・融合させながら専門応用力を養い、制作と理論の調和を軸に、高度に洗練された芸術表現手法や専門領域を研究し、新しい芸術を展開・発信することのできる研究者を育成することをめざします。
今年度は未曾有のコロナ禍に見舞われ、大学も大きく変容を求められました。従来の価値が見直され代替し、新たな芸術の重要性、社会に意義ある芸術研究・制作が求められている時代であると言えるでしょう。この報告会では、博士後期課程1年目の研究成果を発表します。

※現在、緊急事態宣言発出への対応の一貫で、本学では学外者の入講を原則禁止しています。そのため、本報告会は学内関係者の方のみ聴講いただけます。ご不便をおかけいたしますが、ご協力よろしくお願いいたします。

  • 日程

    2021年1月29日(金)

  • 時間

    12:00~13:00

  • 会場

    京都精華大学 本館4階H-417会議室
  • 出演・出展者

    セイ シウ(芸術研究科博士後期課程芸術専攻1年)
    カン キゲン (芸術研究科博士後期課程芸術専攻1年)

  • 予約

    不要

登壇者情報

セイ シウ[専門分野:デザイン]

略歴
1994年 中国・広州生まれ
2016年 中国北京林業大学木材科学工程(家具設計・製造)専攻 卒業
2018年 ミラノ新美術アカデミー(イタリア)プロダクト・デザイン 修了
2020年 京都精華大学芸術研究科 博士後期課程 入学

主な創作歴
2015年 「金斧賞デザインコンペ受賞作品展示会」 上海新国際博覧中心(中国・上海)
2016年 「卒業制作展」北京林業大学 (中国・北京)
2018年 「Leaving room展」 Palazzo Litta (イタリア・ミラノ)

制作・研究テーマについて
アップサイクルは「recycle(再生利用する)」と「up(上がる)」を組み合わせた造語であり、ゴミや廃棄物など、無価値な素材から経済的・環境的価値のより高い製品を作ることを意味します。「SDGs(持続可能な開発目標)」に基づいた循環型産業モデルのひとつとして注目されています。ものづくりにおいて、アップサイクルは従来の素材を見直す「代替素材」や、製品の機能や役割を見直す「機能変換」という発想にもつながります。つまり、無価値と価値、廃棄物と商品、素材と環境、作り手と使い手、特許(ライセンス)とコピーレフト(デザインの自由化)に対する理解の方式を変革しようとするのです。プロダクト・デザインにおいて、制作の根幹にある素材とその成型から、社会や環境に与える影響を考え直さなければなりません。わたしは今年度の理論研究で、日本のものづくりの歴史をさかのぼり、廃棄されたものにもう一度目を向けて、人間とものとの関係性を再考し、アップサイクルの思想と理論の根源を見いだそうとします。他方、制作研究としては、茶殻に着目し、素材としての潜在的な可能性を探求してきました。ペットボトルのお茶飲料が普及して以来、商品生産後に生じる大量の茶殻をリサイクルに活用する事例はいくつかありますが、まだ改善の余地があると考えています。茶殻は、漢方の歴史でも広くて豊かな意味を持ち、また近年では、薬学研究の領域で抗菌・殺菌作用に注目が集まっています。茶はまた、わたしの母国中国と日本をつなぐ重要な文化的接点でもあります。茶殻は単なる廃棄物ではなく、文化的なアイデンティティにおいても、利用可能性においても高い価値をもつ素材です。
  • 《内・外》 コンセプトカー
    200 x 150 x 150 mm
    棕櫚、セメント、綿織物、プラスチックボール、スティック、ソフトポリウレタンチューブ
    2018

  • 《ポアンカレ》ランプ
    1140 x 250 x 250 mm
    アルミニウム、アクリル
    2018

カン キゲン[専門分野:版画]

略歴
1994年 中国撫順市生まれ
2015年 広州美術学院(中国)工芸美術学科 卒業 
2018年 大阪美術専門学校 プリントメイキング専攻 卒業
2020年 大阪芸術大学大学院 絵画研究科博士前期課程 修了

主な創作歴
二人展
2017年 「相似形」大阪美術専門学校ギャラリー(大阪)
2018年 「関棋元・丘乃安版画二人展」hatoba café gallery(京都)
主なグループ展
2018年 「大阪美術専門学校卒業制作展」大阪美術専門学校ギャラリー(大阪)
      「第43回全国大学版画展」 町田市立国際版画美術館(町田)
      「アートフェアの秋」(元町)
2019年 「三菱商事アートゲートプログラム第46回チャリティー・オークション展示販売」 丸ビルギャラリー(東京)
      「第44回全国大学版画展」 町田市立国際版画美術館(町田)
2020年 「大阪芸術大学大学院芸術研究科絵画 博士前期課程修了展」大阪芸術大学情報館1階(大阪)
      「大阪芸術大学大学院芸術研究科修了展」あべのハルカス24階 スカイキャンパス(大阪)
      「三菱商事アートゲートプログラム第47回チャリティー・オークション」 MCAGPホームページより オンライン展示販売(東京)
      「三菱商事アートゲートプログラム2019年度奨学生展」 三菱商事ビル1階(東京)
受賞
2018年 大阪美術専門学校 優秀卒業制作賞
奨学生
三菱商事アートゲートプログラム2019年度奨学生

制作・研究テーマについて
私は主に日常風景の写真をモチーフとして写真製版技法による「記憶風景」を表す作品制作を行っている。制作では、写真のイメージや支持体、物質性の関係を大事にしている。支持体を変えることにより、イメージの物質性も変わると考えている。私は既存するものだけではなく自ら支持体も作って制作に用いている。段ボールや牛乳パックなどを原材料とし、手作りの紙を作ることにより、支持体の形や厚みなどを自由に変えることで、様々な物質感が引き出せると考える。研究テーマについては、ピクトリアリズム時代の芸術写真家・塩谷定好と現代美術家の井田照一の作品や経歴を調査し、芸術作品におけるイメージや支持体、物質性の関係についての探究を続ける。
  • 《記憶のメモ・The Sun with the Moon at 17:13》
    各450 x 450 mm
    キャンバスにシンナープリント、木製パネル
    2018

  • 左《A piece of blue memory》
    右《A piece of cloudy memory》
    各200 x 200 mm
    手作り紙にシルクスクリーン、油性インク
    2019

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