過去の人間の生き方から現在・未来のあり方を提唱する

歴史を学ぶ絶好の場所である京都という土地柄を生かし、文献研究に加え、実際に史跡に足を運ぶ現地調査を積極的に行います。古代から近現代まですべての時代の日本史を対象とし、そのなかから興味のある事柄を選び研究します。過去を研究することは、過去の人間に学ぶということ。名を残さなかった民衆にもスポットライトを当て、当時を生きた人間の姿、生き方を見出します。これらの研究は、単に過去を知るのではなく、自分自身の生き方や、今後の社会を考えるうえでの大きなヒントになるでしょう。

科目PICK UP

  • 京都の歴史

    京都には平安神宮や京都三大祭(葵祭、祇園祭、時代祭)など、歴史的な遺産が数多く残っています。それぞれの歴史的背景を探るとともに、講義を受けるだけでなく、実際に現地を歩いて体感するフィールドワークを行います。

  • 古文書解読

    歴史を研究するうえで史料の解読を避けて通ることはできません。しかし、当時の文書を読むためには、くずし文字の表記ルールや、時代ごとの様式を理解することが必要です。この授業では、江戸時代の史料を実際に読み解きながら、意味や内容を正しく解釈できるようトレーニングを行います。

4年間の学び

  1. 1年次

    FIRST

    人文学の基礎を知る

    3専攻の分野をひと通り学ぶ
    1年次は専攻に所属せず、「歴史」「文学」「社会」の基礎を学び、分野の特長や研究手法の違いなどについて理解します。文化を構成する要素と現代社会の成り立ちを知り、自分の興味に基づき研究したいテーマを探します。

    広い知識とことばから、自分を知る
    ことばを通して自分や他者への理解を深めます。研究に必要となる、「興味があることを掘り下げテーマを設定する力」、「過去の研究や現場を調査する力」、「自分の考えを論理的にまとめ発表する力」を基礎から身につけます。

  2. 2年次

    SECOND

    専攻に所属。学外での本格的なフィールドワークへ

    専門知識の理解を深める
    歴史専攻では、日本の古代・中世・近世・近代の歴史研究を通じて、歴史学の観点から自他の文化を多元的に捉えていきます。地域史・社会史・民衆史という三本の軸を中心に据え、日本の歴史を総体として理解する眼を養います。

    学外に飛び出して学ぶ
    各専攻で学び獲得した知見を、実際にフィールドへ足を運んで検証します。6ヶ月間、キャンパスの外で異なる文化や社会に身を置いて、多様な価値観に触れることで実感を伴った知識を得、深めることができます。この経験が新たな視野となり、世界を広げ、独自の発想につながっていきます。

  3. 3年次

    THIRD

    得た知見をまとめ、 発表することで理解を深める

    調査結果を検証する
    プログラム終了後は、キャンパスに戻って調査した内容をふりかえります。現地で収集したデータや資料を整理し、報告書にまとめます。教員や仲間に研究成果を報告し、指摘や議論を通じて、その理解をさらに深化させていきます。

    ゼミ形式で調査技法を学ぶ
    少人数の演習形式(ゼミ)で同じ分野に興味を持つ仲間とともに、自分の研究テーマを掘り下げていきます。

  4. 4年次

    FOURTH

    卒業研究に取り組み、 自分の考えをかたちにする

    自分の研究してきたテーマを他者に伝わるように論理的に構成し、卒業論文として発表します。論文執筆に取りかかる際には、担当教員が親身になって指導にあたり、構想を練るところから文章の校正まで、一対一でアドバイスを行います。

4年間で身につく能力

  • 歴史資料を読み解き、事実を明らかにする力
  • 物事を異なった側面からとらえ直す力
  • 過去を知ることで、現在・未来のあり方を考える力

論文

  • 「伝統芸能」が”生きる”ということ  -愛知県愛知郡東郷町祐福寺地区の  祭囃子保存会の活動事例から-

    これまで記録に残されることがなかった同地区の祭囃子の歴史を記述し、現在の祭囃子保存会の現状と課題を整理する。地域の「伝統芸能」を地域住民(保存会)はどのようにとらえているのか、現在の地域社会とそこで暮らす人びとにとって「伝統芸能」を保存することにどのような意義があるのか、当事者の声から考察する。

  • 敗者としての武士-幕末・戦国・安土桃山時代-

    幕末と戦国・安土桃山時代の歴史上で「敗者」と呼ばれる武士をテーマにして論じる。時代をつくったのは、歴史に華々しく名を残す勝者だけであると思われる節があるが、敗者も歴史をつくり上げた一部であり、歴史は一側面からだけでなく、多方面からみる必要がある。幕末では「新選組」、戦国・安土桃山時代では「西軍」を取り上げて考察する。

  • 戦国時代の家紋・旗・馬印~由来と込められた思い~

    戦国時代に「徳川四天王」と呼ばれた4人の武将、酒井忠次、本多忠勝、榊原康政、井伊直政を題材に、彼らが家紋、旗、馬印に込めた「思い」や由来を探る。家紋のはじまりから、旗、指物、馬印の説明、4人の略歴、「徳川四天王」と呼ばれた所以などの調査から、武将たちが家紋や旗、馬印にどんな思いを込めて戦国の世を生きたかを述べる。

卒業後の進路

分析・洞察力や問題解決力が強みになる
人文学科で培われる、文化や社会現象を分析する力や自ら問題を発見し解決する力、グローバルな視点で日本や京都文化を洞察する力は、幅広い分野で応用できます。編集者や学芸員、コンテンツ制作者はもちろん、ITや文化事業、教育産業、商品企画、観光など、今後の日本ビジネスの中心となるあらゆる業種で必要とされるでしょう。

 めざせる職業
ツアープランナー、 キュレーター、公務員、 学芸員、 学校教員、図書館司書、編集者、企画職、営業(総合職) など
 
 主な就職先
旅行代理店、 観光・サービス業、 NPO・NGO、 広告制作業、製造業、 流通小売業 など

 充実した就職サポート
京都精華大学では、着実にステップアップできるよう学年別のサポートや、幅広い進路に対応した充実のキャリア支援体制を築いています。
履歴書対策や面接対策など、個別指導も充実しています。

取得できる資格

在学中、指定された科目単位を取得すれば、以下の資格を取得することが可能です。
その他、検定・資格取得のための支援講座も用意されています。
 
 高等学校教諭一種免許状(地理歴史)
 中学校教諭一種免許状(社会)
 図書館司書
 博物館学芸員 

VOICE

  • 花桐 蒼唯さん在学生

    歴史を学ぶほど 「もっと知りたい」が あふれてくる

    子どもの頃、親に連れられてよく京都へ来ていたのがきっかけで歴史が好きになり、中学の時には本格的に歴史を勉強したいと考えるようになりました。人文学科を選んだのは、自分の好きな分野で自由に調査研究できるフィールドワークがあったから。先輩たちの実績を見て、ワクワクするような魅力を感じました。
    ゼミでは近現代史を学んでいます。高校までのような政治史ではなく、近代日本を支えた民衆の生活を中心に、より多角的に歴史を読み解き、みんなで議論します。私は大正時代の米騒動に興味があり、自分の出身地である福岡県北九州市と、いま学んでいる京都の比較研究をしています。神社やお寺の御朱印をいただき巡るのが趣味なので、フィールドワークでは「期間限定御朱印と観光の関係性」というテーマで調査をしました。
    いまは卒業論文の準備中。15年という短い期間で新聞や雑誌、レジャーなど大衆文化を完成させた大正時代に魅力を感じ、調査を進めているところです。大学の学びを通して、知りたいことがどんどんあふれてきました。将来は中学校の先生になって、歴史という学問の面白さや魅力を伝えていきたいです。
  • 中村 壮さん在学生

    京都でゆかりの地を巡り明智光秀の人物像に迫る。

    戦国時代が好きで、歴史が学べる大学を探していました。国際文化学部を知ったきっかけは、京都精華大学の卒業発表展です。会場には、戦国時代をテーマにした卒業論文が複数紹介されていて「、ここなら自分の好きなことを思いきり研究できるかも」と感じました。フィールドワークに挑戦できる点にも惹かれ、入学を決めました。
    専門科目に加え、1年次に履修した全学部共通の授業「アカデミックスキル」では他学部の学生とチームを組み、京都の観光事業について考える課題も。イラスト、文章、それぞれの得意分野を生かして協力し合い、予想以上の完成度で評価を得ることができました。フィールドワークでは、明智光秀の人物像に迫る調査を実施。光秀ゆかりの地が多い京都の亀岡・福知山を主なフィールドにして、史跡や寺社を巡って情報を収集することができました。
    今後は、光秀前後の時代にも視野を広げながら、集めた情報を卒業論文にまとめていく予定です。将来の夢は、もちろん歴史に関わる仕事に就くこと。博物館に勤める学芸員や、歴史に関する雑誌や書籍の編集者になれたらと考えています。
  • 岩本 真一教員

    偉人ではなく民衆の言葉から、日本の近現代史を再構成

    私のゼミは「日本近現代史」がテーマ。日本の近現代史を、中学・高校で学んできた「政治史」とは異なり、わたしたちと同じような普通の人々の視点から再構成します。たとえば、日記や自分史など民衆自身の言葉で綴った「史料」を使って、偉人や英雄ではなく、その時代を生きた民衆がどのように歴史に関わったのかを、研究してほしい。いまの社会に違和感をもち、その原因を過去にさかのぼって考えたいという人に向いていると思います。
  • 吉元 加奈美教員

    史料を読み解けば人びとの営みが生き生き見えてくる

    私のゼミでは、織田・豊臣の政権期から徳川幕府時代の歴史を学びます。政治や軍事的な面だけでなく、一般の人びとの日常生活や仕事といった生き方から、当時の社会のありようを明らかにしていくのが特徴です。
    日本の近世社会では、村・町などの地縁共同体や職業共同体などが大量の史料を作成し、現在まで伝わるものも数多くあります。それらをていねいに読み解いていくことで、人びとの日々の営みと彼ら・彼女らが生きた社会に迫ることができるのです。単に知識を得ることにとどまらない、生き生きとした歴史の学びだと思っています。
    私の専門は日本近世史の都市社会史で、大坂を主な研究対象として江戸時代の都市開発と遊郭の関係について分析を進めてきました。遊廓を選んだのは、当時の女性の生き方に興味があったからですが、史料を読み解いていくと、遊女屋以外の人びとと遊廓の関係など、遊廓をとりまく社会の色々な側面が見えてきました。こうした複合的な社会の総体をとらえる史料分析が歴史研究の一番面白い点です。大学でしか学べない歴史学を、ぜひ一緒に楽しく学びましょう。
  • 吉永 隆記教員

    歴史に向き合うことで 何事も諦めない力がつく。

    古文書などの史料を読んでいくと、何だこれは?というものに多く出会います。例えば、「家の前で馬に乗るなんて無礼だ」という理由だけで、百姓に殺されてしまったお坊さんがいます。家の前で馬に乗るとなぜ無礼なのか、殺してしまうほどの理由になるのかなど、疑問はつきませんが、そうしたルールに基づいて生活していた人々が確かに過去にいたのです。史料を通して、現代の我々の価値感や慣習では全く理解不能な出来事や、人々の行動が垣間見えることが歴史研究の面白さ。歴史専攻の学びは、やや地味で派手さはないイメージがあると思います。もちろんその通りですが、例えば2行ほどしか書かれていない史料から多くのことを読み取ろうとしたり、難しい内容の史料に対して、辞書類を駆使して解き明かそうとする姿勢は、何事にも堅実に諦めず取り組む力となります。歴史を学ぶことは、人間社会を学ぶこと。我々は過去の人々の作った社会の仕組みや慣習を少なからず引き継いで生活をしているので、現代社会の構造を知る上でもとても重要な分野なんですよ。過去・現在を問わず、さまざまな個性を含めて人間が好きな人を歓迎します。