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「2020年度 京都精華大学・大学院入学式」を挙行しました。

2022年3月24日(木)、「2020年度 京都精華大学・大学院入学式」を挙行しました。
本式典は、2020年4月に、新型コロナウィルス感染症の感染拡大のため中止となった「2020年度 入学式」を2年越しに実施したものです。

2020年度は感染症急拡大の影響を受け、新たな学生たちを歓迎するための入学式も中止となり、ウスビ・サコ学長(当時)が動画で歓迎のメッセージを配信しました。入学後の半年間が急遽オンライン授業に変更となり、学生・教職員ともに慣れない環境下での学修形態を模索してきた半年間となりました。2020年10月の後期以降は対面形式を主として授業を行っておりますが、新型コロナウィルス感染症が完全に終息していない状況において、一部制限された学生生活を余儀なくされています。

本式典は、そんな2020年度入学生たちのこれまでの2年間の奮闘を称え、これからを応援したいと、ウスビ・サコ学長の発案のもと行われました。
式典は感染拡大防止の観点から、屋外で実施。2022年2月に竣工した新校舎「明窓館」の屋外テラスを使用し、開放感のある会場で行われました。
受付では、ウスビ・サコ学長によるメッセージと、2020年4月から2022年3月までの京都精華大学での出来事を記載した冊子を配布しました。裏表紙に記載した「あなたが自分らしく歩いてゆくために、自由自治の大学はある」という文章は、2020年度生を対象に発行した、大学案内のキャッチコピーです。
司会進行は、マンガ学部教員で学生部長の三河かおりが務め、「2020年度入学式を実施できなかったことは、ずっと心苦しかった。今日のこの場が皆さんにとって、特別な思い出になってくれることを願う」と学生たちに語りかけました。
続いて、ウスビ・サコ学長からの挨拶が行われました。音声でメッセージを配信。「自己、そして他者への理解を実体験とともに深め、多様な価値観の共存に不可欠な土台をつくりあげていくうえで、大学のキャンパスほどふさわしい場所はありません。みなさんがこの京都精華大学のキャンパスで、友人たちと日常生活が送れるように願って、私の2年越しのメッセージとさせていただきます。」と、激励の言葉を述べました。
本式典の様子は動画でご覧いただけます。
ぜひご覧ください。


「2020年度 京都精華大学・大学院入学式」 ウスビ・サコ学長式辞 全文

Aw niche--Aw Bissilah--Aw Bora aw Kasso--Aw nana aw kasso※
京都精華大学学長のウスビ・サコです。
みなさん、こんにちは。
大学生活はいかがお過ごしでしょうか?
あらためて、ご入学おめでとうございます。
 
2020年度の突然かつ大変な状況下で、京都精華大学への入学を果たしていただいたことを、わたしたちはたいへん嬉しく思っています。
本来であれば、入学式は例年通り2020年の4月に開催されるはずでした。しかしこの年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全員の健康と安全を優先した結果、まことに残念ながら中止を決断しました。大学生活も遠隔授業が中心となり、みなさんが当初思い描いていたものとは大きくかけ離れてしまっていたことでしょう。新たな仲間との出会いや、大学という新しい生活の場への移行も、ままならない時間が続いたことと思います。
本日は、これまでの2年間のみなさんの奮闘を称え、苦しみを励ますとともに、これからのみなさんを応援するためのセレモニーを挙行します。そして同時に、日本への入国制限・入国拒否のため、2年間も入学延期や国外での遠隔形式となっている学生のみなさんに今年こそお会いできることも、心から願っています。
さて、これからの社会を、わたしたちはどう考えていけばよいでしょうか。そして、みなさんは貴重な残りの2年間を、どう過ごしていきますか?
 
先日、わたしはロシアによるウクライナ侵攻について声明文を出しました。そのなかで、「京都精華大学がめざすのは、「地球市民」としての人格形成であり、主体性と協調性を備え持つ人間の育成」だと書きました。地球市民になるために、みなさんにとって何よりも重要なことは、「私とは何者か?」という問いを持ち続けることです。そのために、京都精華大学が教育の柱に据えているのが、リベラルアーツです。
コロナ禍や国家間の戦争に限らず、世界では多種多様な問題が常に起こり続けています。グローバル化により、わたしたちの生活のあらゆる場面に、あらゆる種類のヒト、モノ、システムが現れ出るようになりました。その結果、「アイデンティティ」とは教育や伝統が作り出した幻想にすぎず、絶対的なものではないと思い知らされる場面が増えました。さらに、ITの発達により情報が溢れ、世界情勢とプライベートなやりとりが区別なく届き、じっくり考える暇もなく浮かんでは消えていく、ということが常態化しています。このなかで人々に起こるのは、漠然とした不安です。まるで広い砂漠のなかに急に放り出されたように、どこから一歩踏み出せばよいか、わからなくなってしまう。特に幼いころからインターネットを介した情報に日常的に触れてきた若いみなさんは、なおさらこうした状況を敏感に感じ取っているのではないでしょうか。
私とは何者か。自分にとって選ぶべき情報は何か。迷ったときにはどこに立ち戻るのか。溢れかえる情報やモノ、システムのなかで立ちすくんでしまわないために、自分のなかに確かな価値判断基準をつくる。みなさんにはぜひ、そのことを意識して、常に問いを持ち、これからの2年間を過ごしてほしいと考えています。
 
自己、そして他者への理解を実体験とともに深め、多様な価値観の共存に不可欠な土台をつくりあげていくうえで、大学のキャンパスほどふさわしい場所はありません。みなさんがこの京都精華大学のキャンパスで、友人たちと日常生活が送れるように願って、私の2年越しのメッセージとさせていただきます。
ようこそ京都精華大学へ。

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