行動する社会学「動物園」編

2016/06/09

行動する社会学「動物園」編

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ここは2015年11月にリニューアルしたばかりの京都市動物園。その目玉コーナーのひとつ「京都の森」は、かつての豊かな生態系を再現した里山で、なんと動物園なのに田植えや収穫を楽しめるそうです。実は、これに関わったのが、人文学部板倉ゼミの学生たち。これまでにも、山の中で子どもたちとパンづくりをしたり、地域の人たちとマツタケ山を再生させたりと、豊かな自然に触れながら、人と人、人と動植物との関わり方を学んでいます。さあ、今回の「京都の森」には、どんな狙いがあるのでしょう。板倉ゼミの1日に密着しました。

ゲンジボタルを放つため、 約20キロ、17000匹を越える貝を放流。

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まず初めにやってきたのは「京都の森」のなかに流れる川のほとり。ここでは豊かな生態系を再現するための一つの取組みとして、ゲンジボタルを放ち、自然繁殖・定着させようとしています。その前段階として取り組んでいるのが、エサとなるカワニナと呼ばれる貝を育てること。ゲンジボタルの幼虫は成虫になるまでに、カワニナを40~50匹食べる大食漢。そこで、ホタルを通して自然豊かな環境づくりに取り組んでいる「京都ほたるネットワーク」の皆さんの手によって、「京都の森」のなかを流れる川に約20キロ、17000匹を越えるカワニナが放流され、学生たちは約1年かけて成長を観察。現在ではカワニナの子どもも生まれ、すくすくと育っています。カワニナが住める環境は整いました。あとは、この川を気に入るかどうかはホタル次第。2016年6月にはゲンジボタルが放たれる予定です。学生たちがつくった環境の中で、ピカピカと光る綺麗なホタルが飛びまわるのはもうすぐです。

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次にやってきたのは、屋上緑地化エリア。この場所にはもともと、温暖化を防止するために芝生が敷き詰められていたのですが、残念なことにすべて枯れてしまいました。再び屋上を緑地化するため、学生たちが土を掘り起こし、花を育てています。また、実験的な取り組みとして、「ゾウのうんち」「シマウマのうんち」「ゾウとシマウマのうんちのミックス」という3種類の肥料を、3つのエリアに区分けし、肥料の違いで花の成長に差が出るのか比較しています。毎週どれだけ花が成長したかを観察して記録をとると、シマウマのうんちエリアに植えた花が良く育つという面白い結果が。うんちを肥料に花が咲き、咲いた花がCO2を削減し、温暖化を防止していく。学生たちの活動が出発点となり、地球の環境を良くするサイクルが回り始めていました。

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うんちの栄養を吸収して真っ白に咲く『メラコイデス』
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花や植物以外にも、園内では学生たちが干し柿を作ったりもしています

カバよりもゾウよりも注目を集めていた、 噴水池の高橋くん。

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午前11時の「噴水池」で、ずぶ濡れの学生を発見。板倉ゼミの4年生、高橋くんです。一体彼はなにをしているのでしょう?
「僕たちはこの池で二枚貝のドブガイを育てていて、その成長を記録するために、貝を引き上げに行ったら、噴水の水がかかっちゃって(笑)」
高橋くんたちの目標は、この池を昔ながらの在来種だけの生態系に戻すこと。二枚貝の育成もその一環だそうです。また、この噴水池ではザリガニ釣りなどを開催。手のかかる外来種駆除を、来場者が楽しめるイベントに変えたところに、アイデアが溢れています。

学生×動物園×市民。 絶滅寸前のイチモンジタナゴを救え!

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今回のワークショップは、イチモンジタナゴを繁殖させ噴水池に放す長期プロジェクトです
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これが、イチモンジタナゴ。悲しいことに、外来種に食べ散らかされ絶滅寸前です
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さあ、貝の中はどうなってるのかな?参加した子どもたちは貝の硬さに大苦戦
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イチモンジタナゴは貝に卵を産み付けます。この貝を高橋くんたちは育てていたんですね

昼からは、市民のみなさんが参加するワークショップを開催。過去にはゾウのうんちでハガキを作ったことも。今回開催されたのは「守れ!イチモンジタナゴ!!プロジェクト」。大人から子どもまで11名の方が参加し、イチモンジタナゴの生態について熱心に学んでいました。人の手によって生態系が壊されたのなら、それを守れるのもまた人。世代を超えて人が集い、自然の大切さや面白さを考える場所。「京都の森」は、ニンゲン社会を見つめるための、巨大な教科書なんですね。


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板倉 豊 ITAKURA Yutaka
人文学部 総合人文学科 社会専攻
専門分野:自然教育論 / 公害史


 
京都自然教室事務局長、きょうとグリーンファンド理事長、京都府ネイチャーゲーム協会理事。京都大学大学院工学研究科衛生工学科修士課程修了(工学修士)。
京都市公害対策室に24年間勤務。その間3年間JICA専門家としてアフリカに赴任する。自然観察指導員、森林インストラクター、ネイチャーゲーム指導員等資格を持ち、26年間京都自然教室事務局を務めている。自然大好き子供たちをたくさん作っています。
2012年4月~9月、英国ウエールズにあるCAT(The Centre for Alternative Technology / 自然エネルギー研究所)において自然エネルギーおよび環境教育の研修、研究に従事。
著書に「共感する環境学」、「環境教育への招待」、「3R検定公式テキスト」、「よくわかる環境教育」(すべてミネルヴァ書房、共著)。

http://www.kyoto-seika.ac.jp/edu/faculty/itakura-yutaka/


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