講演会「いま世界で何が起こっているのか?──シリア、ヨーロッパそして日本──」

2016/06/09

 
 

◉「知る」ことからはじめてほしい

玉本さんの映像を交えたお話の後は、細川先生、サコ先生、そして参加者との質疑応答が行われました。一部抜粋してご紹介します。
 
細川先生からは「国際社会が空爆で事態を打開しようとすることについて、地上で取材する玉本さんはどう思うか?」という問いが投げかけられました。玉本さんは「空爆は事態を解決するわけではない」と答えつつも、空爆下に暮らすシリア市民の切実な声も伝えました。
 

玉本:政府軍や政府軍に協力するロシア軍は、IS支配地域のみならず、他の反政府勢力の拠点も空爆します。ある市民は『なぜ、関係のないロシア軍に家族を殺されなければいけないのか』と電話で訴えました。一方で、ISが「首都」とみなすラッカで地下活動を続けていた市民記者が「住民の半分は、米軍による空爆に賛成している」と言うのには驚きました。「自分や家族が空爆で死ぬことになったとしても、ISの支配には耐えられない」と。そこまで追い詰められていることを、国際社会は知るべきだと思います。

 
サコ先生からは「日本と連携した視点から、シリア問題を捉えるには?」と質問。玉本さんは「ISは、日本も攻撃の対象としているので他人ごとではない」と言います。
 

玉本:ISは、イラクとシリアに敵対する62の国と国際機関を「十字軍同盟」と呼んでいるのですが、そのリストには日本も含まれています。

 
細川先生は「今のシリアやイラク北部で起きていることは、日本も参加して来た湾岸戦争やイラク戦争の帰結。無関係だとは言えない」と発言。さらに「宗教的なことで言えば、どの宗教も原理主義に走ると残虐なことをしてしまうことがある。ISの行為によって、イスラム教のすべてを否定するのは間違っていると思う」と話しました。
 
参加者の学生たちからも活発に質問が行われました。たとえば、マンガ学部2年生の学生は「自分たちに何かできることはありますか?」と質問。玉本さんは「彼らが求めていること、一番幸せになれることを最初に考えなければいけない」と答えました。
 

玉本:シリアでもイラクでも、取材に行くと「みんな私たちの状況を知っているの?」と聞いてきます。彼らの多くは「見捨てられた」と感じているようです。彼らは日本の人たちが自分たちの状況を知ってくれるだけでもありがたいと思っています。ニュースに注目してみる。シリア難民を支援するための寄付をしてみる。月並みだけれど、まずは知ることからしか次の議論につながらないと思います。

 
最後に玉本さんは、精華大の学生たちに向けて「キャンパスには、いろんな国から来ている留学生たちがいる。どんどん友だちになって、その国の文化や背景など、いろんなことを学んでほしい」とメッセージを送りました。
 
 
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