講演会「いま世界で何が起こっているのか?──シリア、ヨーロッパそして日本──」

2016/06/09

 
 

◉内戦のまちで暮らす人々の生活

ISの襲撃を受けたとき、コバニの若者たちは銃をとり、クルドのYPG(人民防衛隊)に参加してISを迎撃。玉本さんが撮影した映像には、前線で銃を抱える20代の女性たちの姿もありました。その後、人民防衛隊はコバニ奪還に成功。2015年1月末にISはコバニを撤退しました。
 
玉本さんが現場に入ったのは2014年12月、まだ戦闘が激しかった頃でした。取材映像には、空爆で廃墟となった建物や、ロケット砲で破壊された車などが写されていました。ISとの戦闘中、コバニに残っていた市民は約2000人。玉本さんは、一般家庭も取材しました。
 
毎日、20〜30発以上飛んでくるロケット砲に備えて、コンクリートで塞がれた窓。暗い部屋で登山用に使うような小さなコンロで料理する女性たち。電気がないと、貯水タンクのポンプも止まってしまうので、一日に数時間、発電機を回して水を汲上げるのだそうです。わずかな電気は、携帯電話の充電などにも使われます。
 

玉本:IS撤退後、コバニの人たちは避難先のトルコから部分的に帰国しました。まちなかでの戦闘はなくなっても、周辺地域はまだISが支配しています。いつ彼らが戻ってくるかわからない。まちは、空爆や戦闘でがれきの山で復興の目処も立ちません。仕事もない。相変わらず電気もない。子どもたちが通う学校もない。これでは暮らせないと、人々は再びトルコに避難するのですが、トルコでも生活はままならない。そのため、多くの人が欧州を目指すのです。一部で言われているように、お金のため、豊かさのために難民になるわけではないのです。

 
欧州に渡った難民は、まずは親戚を頼るそうです。90年代やそれ以前に、欧州で難民となった親戚のもとに身を寄せて、言葉を覚えて、なんとか自立したいと望んでいるのです。

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