講演会「いま世界で何が起こっているのか?──シリア、ヨーロッパそして日本──」

2016/06/09

 

◉溺死した幼児の故郷・コバニで何が起きたのか?

玉本さんがシリア取材を始めたのは2004年。内戦以降も4回取材に訪れたそうです。「今、シリア国内各地を取材するのは非常に難しい」と玉本さん。ISの支配地域は、シリアとその隣国のイラクにまたがっており、玉本さんは主にクルド人勢力の拠点での取材を行っています。
  
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玉本:今日、お見せする映像は、シリア国内を知るためのひとかけらです。ここからまず、現地で起きていることを少しでも知ってもらえればと思います。

 
最初に映し出されたのは、線路づたいに逃げるシリア難民の姿。つづいて、並んで笑顔を見せるシリアの幼い兄弟の写真が写されました。
この写真に写るアイランくんは当時3歳。2015年9月、変わり果てた姿になってトルコ海岸に打ち上げられました。トルコからギリシャへ渡る難民のゴムボートが転覆し、彼は溺死したのです。世界中のメディアが報道し、難民問題に関する議論を巻き起こすことになりました。
シリアの戦乱を逃れた人たちが最初に向かうのはトルコ。しかし、何百キロもある国境線は有刺鉄線が張り巡らされており、トルコの国境警備隊が目を光らせています。トルコ側に出ることができれば、次はトルコ西部の海岸からエーゲ海を越えてギリシャの島を目指します。欧州で難民申請をするためです。
 

玉本:ギリシャ行きも、もちろん違法。密航業者に高いお金を払わなければいけません。最低でも1人につき千ドルはかかります。シリアでは学校の先生の月給が200ドルくらいですから、このお金を用意することが難しい。親戚などからお金をかき集めることができたとしても、弱いゴムボートでは海が荒れたら沈んでしまうこともあります。

アイランくんが住んでいたのは、トルコ国境のまち・コバニ。住民の多くはクルド人で、約10万人が住んでいました。しかし2014年9月、ISが侵攻を開始。ほとんどの人がトルコ側に逃れたのです。
 
 
 
 


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