惠阪 友紀子先生インタビュー

2016/03/04

esaka-03

Q.平安時代の文学の楽しみかたは?

A.紙で遊び、見て楽しむ。芸術作品として大切にされていました。

『和漢朗詠集』は、その名前のとおり和歌と中国の漢詩、日本の漢詩から編まれた秀歌選。成立したのは1018年頃、選者は藤原公任です。上巻には春夏秋冬、下巻には季節に当てはまらない自然の風物、人間の感情や歴史、風俗などに関する歌が集められています。平安時代の作品では『古今和歌集』に次いで写本が多く、時代を超えて非常に多くの人に読まれてきました。

印刷技術のない平安時代、新しい本を手に入れたければ、人から借りて書き写すしか方法はありません。欲しい本に出会ったら、紙を用意して書の達人に依頼していました。巻子本(巻物)にするのか、冊子本にするのか。装丁のために美しい紙を取り寄せたり、わざわざ新しく漉くこともありました。当時の本は一冊一冊が唯一無二のオリジナル、いわば読み手が芸術作品としての本を作っていたのです。

だから今、和歌や漢詩を活字の本で読んでも、平安時代のかおりは伝わらないと思います。歌や物語を「見て楽しんで、読む」のが平安時代のお好み。贅沢をつくして作った本は、調度品として扱われてもいました。当時は、文字どおり「本は財産」だったのです。

『和漢朗詠集』は、ひらがなで書かれた和歌と、漢詩の漢字が併記されているので、見た目のバランスが良いのも魅力のひとつ。美しい写本に触れることも、古典を好きになるきっけにしてもらえたらうれしいです。
 
 
 
esaka-08
  
 
 

 
 


Copyright © Kyoto Seika University. All rights reserved.