加美 甲多先生インタビュー

2016/01/14

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「中世には現代からは思いも及ばない世界観がある」

混沌の時代を生きた人々のエネルギーに触れる「日本中世文学」


 
2016年4月に人文学部教員に就任予定の加美甲多先生にインタビュー。
ご自身の研究テーマや、これから人文学部の学生に伝えたいことについてお話を伺いました。

加美先生の専門は「日本中世文学」。昔話や伝説、世間話などを元に編まれた「説話文学」を中心に研究されています。研究の軸となるのは、13世紀後半の仏教説話集「沙石集(しゃせきしゅう)」。目をキラキラさせて「沙石集」を熱く語る先生に、文学を通して中世という時代に触れる面白さについて教えていただきました。
 


 
 
 

Q.先生はなぜ現在の研究テーマを選んだのですか?

A.「沙石集」に描かれる中世の人々のエネルギーに惹かれました。

幼い頃から、好きなテレビ番組はヒーローものより「まんが日本昔ばなし」。父が中世軍記物の研究者ですので、子供向けに訳した古典を自然と読んでいたようです。改めて、文学が好きな自分を意識したのは大学に入るとき。各時代の文学を学ぶうちに、最もエネルギーを感じたのが中世の文学でした。子どもの頃に読んで印象に残っていた仏教説話集、「沙石集」に出会いなおしたのも学生時代でした。
 
編纂したのは、無住一円道暁(以下、無住)という臨済宗(禅宗のひとつ)のお坊さん。無住は非常に柔軟な発想ができる人で、笑いや和歌など多様な要素を取り入れて、わかりやすく仏法を説きました。大学で、改めて読みなおすと「なかなか難しい作品だな」と思ったのですが、同時に強く惹かれるところがあって。今でも興味は尽きませんので、「沙石集」に出会えたのは研究者としてラッキーだったと思います。
 
現在の研究の柱は三つ。まずは、後世に加筆・再編纂された“伝本”を比較し、発展のプロセスを追いかける「伝本研究」。二つ目は、笑いの要素を取り入れて仏法を説いたという側面からの研究。そして三つ目は、後世に与えた影響を探る「後世享受」。「沙石集」は多くの伝本を生み出しただけでなく、後世の民衆芸能にも大きな影響を与えました。落語では「寿限無」、狂言では「附子(ぶす)」の原話として、唯一文献として残されているのは「沙石集」なのです。
 
 
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