岩本真一先生インタビュー

2015/06/18

岩本真一06

Q.これからどんな研究をしたいですか?

A.「近代を超えて行く可能性はどこにあるのかを考えていきます」

僕が今、取り組んでいる研究テーマを構想したのは大学院生のとき。簡単に言うと、「日本の近代の問題はどこにあり、どう超えていくのか?」ということが研究目的です。
 
現在は、日本の近代を批判的にとらえる思想は、どんなかたちで問題提起をしたのかを研究しています。先日出版された『戦後日本思想と知識人の役割』(法律文化社)に収められた、「出発点としての「政治と文学」論争―中野重治の「近代の超克」」という論文もそのひとつ。最終的には、近代を乗り超える可能性があるのかを研究したいと考えています。
 
僕がやっているような研究領域は、常に自分という存在と関わらせながら考えていくので、批判したことは全部自分に跳ね返ってくるんです。たとえば、日本社会を批判しても、自分はその社会の一員。社会を批判することは、自分を批判することにつながっているわけです。
 
社会を変えていきたいなら、まずは自分が変わらなければいけません。常に自分が問われ続けるのはしんどいことですが、それでも20数年間この研究を続けているのは、「明日は少しでも良くなりたい」と思っているからです。
 
社会を良い方向へ変えるには、ものすごく小さなところから積み上げて、少しずつものを考える人間を増やしていくしかありません。僕は一つひとつの問題を明らかにすることの積み重ねが、社会を変えるはずだという希望を持ち続けています。
 
 

書影_『戦後日本思想と知識人の役割』(共著)法律文化社 2015

『戦後日本思想と知識人の役割』(共著)法律文化社 2015
「戦後日本思想の総合的研究」という研究会に集まった研究者たちの論文集。岩本は作家・中野重治を取り上げ、中野の戦時下における体験が、どのように戦後の言動に表われているかを考察した。今後の研究でも、近代的価値を無批判に繰り返そうとする戦後日本に対し、一貫して違和感を抱き続けた中野重治という思想家に着目していきたいと考えている。

 
 
 
 

岩本真一プロフィール
岩本真一(IWAMOTO Shin-ichi)
1969年、兵庫県生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科中退。著書に『超克の思想』(水声社、2008年)、『鳴尾村誌 1889-1951』(共著、05年)、『戦後日本思想と知識人の役割』(共著、法律文化社、15年)、論文に「保田與重郎における「浪漫主義」の形成」「『コギト』創刊前後の保田與重郎」「一九三四年の保田與重郎」「保田與重郎の「日本浪曼派」」などがある。
 
 
 
 


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