堤 邦彦先生インタビュー

2015/03/20

Q.これからどんな研究をしたいですか?

A.国境を越えて、アジア文学という広い視点の導入を試みたいです。

ヨーロッパがEUになったように、これからはアジア文学という広い領域でものごとをとらえる視点を導入していかないと、狭い領域の文学はいずれすごく小さいものになっていくだろうという予測があるんです。
 
言語だけでなく、思想、宗教、風土などの文学における共通性を並べる視点が、文学におけるグローバリズムだと思います。今後の課題としては、文学におけるグローバルな視点を自分の研究領域に結びつけて、「お寺と怪談」アジア版まで目指したいですね。
 
まずは日本全国のお寺と怪談の関わりを網羅して、「宗教者はどんなふうに怪談と対峙してきたのか」を台湾、東南アジアの仏教国に広げていきたいと思っています。たとえば、タイのホラー映画と日本の怪談には、物語に宗教的な世界観を入れて説得力を持たせるという意味で共通性があることに興味を持っています。タイ映画『ナンナーク』は、幽霊が子どもを育てる物語なのですが、やたらとお坊さんが出てきて仏教的要素が強いです。まるで日本の「子育て幽霊」ですね。同じくタイの大ヒット映画『シャッター』は心霊写真のお話ですが「成仏できない」とお坊さんを呼んでカメラを供養したりするんですね。
 
こういったことを研究材料にしていくと、怪談のアジア圏が見えてくると思います。なかなか難しいけどね。やっぱり、あと一万年はかかるね(笑)。
  
 
 
 
堤 邦彦プロフィール
堤邦彦(Tsutsumi Kunihiko)
慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)。世の中の役に立たない(と見做されてきた)怪談研究をライフワークとする。『江戸の高僧伝説』、『怪異学の技法』(共著)、『女人蛇体―偏愛の江戸怪談史』、『現代語で読む江戸怪談傑作選』など。
  
 
 
 


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