堤 邦彦先生インタビュー

2015/03/20

堤 邦彦01

「人間の光と闇を、あらゆる“言葉”で表現しようとするのが文学です」

文学研究を軸に歴史から芸術まで周辺領域をくまなく探る「説話伝承学」


堤先生のライフワークは怪談研究。学生たちと一緒に怪談ライブ公演「百物語の館」などのイベントも開催しています。堤先生の専門はもともとは古典国文学でしたが、京都精華大学に赴任してからは、さまざまな学問領域と有機的につながりあう文学研究へと発展をとげています。今回のインタビューでは、先生の研究テーマ、そして京都精華大学で文学を研究する面白さについてお話をうかがいました。


Q.先生の研究テーマは何ですか?

A.昔話や怪談など、音声や絵で伝えられた文学を中心に研究しています。

僕の研究テーマは説話伝承学。口伝の物語など、文字化されずに成立している文学を研究対象にしています。
 
たとえば、一寸法師やかぐや姫、浦島太郎などの昔話は成立年や作者は不詳ですが、みなさんはよくご存知ですよね。沖縄や北海道のアイヌ民族には、文字ではなく声で伝えられてきた文学が残っています。これらの文学は、説話・口承文学と呼ばれています。さらには、絵巻物のように絵を見て語る図像文学もあります。
 
ライフワークとしては、怪談研究に取り組んでいるのですが、特に今、力を入れているテーマは「僧侶と怪談」です。たとえば、上田秋成が江戸時代に書いた怪異小説「雨月物語」。「白峯」で怨霊になった崇徳院と議論するのは僧・西行ですし、「夢応の鯉魚」では僧が鯉になってしまいます。そして、有名な「蛇性の婬」は男に取り憑いた蛇と僧が対決する話。やたらと寺や僧侶が登場するんですね。
 
ほかにも、「丑の刻参りをして鬼女になった女の角をお坊さんがなで落としてあげる話」は説話の世界の定番です。茨城県の浄土真宗寺院では、親鸞聖人が鬼女の角をなでて落としてあげた物語が絵巻物になっていて、さらにはその鬼の角がお寺の宝物にもなっているんです。
 
お坊さんが怪談を語り伝えていたという仮説を実証することが今の課題。怪談の世界における僧侶の存在は何なのかを究め、日本の怪談の意味を明らかにしたいと考えています。
  
 
 
 


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