細川弘明先生インタビュー

2014/11/12


 
細川弘明03

「ひとつのモノを徹底的に調査すれば社会のしくみが見えてくる」

現場調査にもとづいて環境と人間社会の関わりを明らかにする「環境社会学」
 


 
細川弘明先生は、「オーストラリアの先住民族アボリジニ」を研究すると同時に、「プルトニウム」「原発問題」の問題にも取り組んできました。「オーストラリアの先住民族と原発にどんなつながりがあるの?」と不思議に思うかもしれません。しかし、先生のお話を聴いてみると「アボリジニ」と「原発」には深い関係があることがわかります。そして、同時に「アボリジニ」と「自分」もまたつながっていることにも気づくことでしょう。自分と世界のつながり方を発見することは、社会のしくみを明らかにするということでもあるのです。
 


 
 
 

Q.先生の研究テーマは何ですか?

A.環境問題、現在は「原発のない社会をどう作るか」もテーマです。

僕はもともと文化人類学が専門で、オーストラリアの先住民族アボリジニの言葉、暮らしや歴史を研究していました。博士論文では、オーストラリア北西海岸に住むアボリジニのグループ、ヤウルの人たちの言語と文化の記録に取り組みました。
 
オーストラリアで研究生活を送るなかで、彼らの土地で日本企業による鉱山開発や観光開発が行われていることを知り、アボリジニの土地の権利に関する調査や、開発問題の研究も行うようになりました。そんなわけで、文化人類学をスタート地点として環境社会学の研究も行うようになったのです。
 
「環境社会学」は、公害や開発、事故などによる環境破壊や環境保全をめぐって、地域社会や国家、さらには国際社会がどう考え、行動するのかを調査・分析する学問分野。環境社会学と文化人類学は、長期間のフィールドワーク、インタビューや参加観察などの方法論においても共通点が多いんです。ただ、ものごとを捉えるときのタイムスパンには違いがあって、文化人類学は100年や1000年、社会学者は10年単位で分析を行う傾向がありますね。
 
東日本大震災発生以降は、福島第一原発事故が起きてしまったので、今は原発事故被害者の被害状況リサーチや「原発のない社会をどう作るか」という環境社会学的なテーマへの取り組みが中心です。 長いタイムスパンで考えることを重視する文化人類学の考え方は、原発問題のように現代の人間に迫ってくる危機を考える環境社会学的な研究においても、重要な視点を提供してくれます。
 
 

細川先生が、ヤウルの人たちへの聞き取り調査を文字化して文法や辞書を作成した博士論文は、発表から20年後の2011年にドイツの出版社から出版されました。
『The Yawuru language of West Kimberley』(2011)Lincom
細川先生が、ヤウルの人たちへの聞き取り調査を文字化して文法や辞書を作成した博士論文は、発表から20年後の2011年にドイツの出版社から出版されました。
福島県における現地調査の様子
福島県における現地調査の様子

 


 
 
 

 
 
 


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