カートゥーンは、イギリスで生まれた「風刺」「笑い」「誇張」を柱とした、1枚もののユーモアあるマンガ。ペンと紙で表現する究極のシンプルアートなので、たしかな画力と鋭い観察力が求められます。精華のカートゥーンコースでは、まず基礎となる画力を鍛えます。同時に、ユニークな発想と表現力をはぐくんで、社会に鋭く切り込むカートゥーンを世界に発信していきます。
ペンと紙のみで表現するカートゥーンは「線」が命。まずは、フリーハンドによる自分だけの「線」を手に入れることが大切です。そのために必要なのはひたすら描くこと。1年次の夏休みの課題には、動物園でのクロッキー600枚以上が課題として出され、その1枚1枚に教員からのきめこまやかな添削が入ります。対象を観察し、繰り返し描くことで、学生たちは圧倒的な画力を身につけ、各方面で高い評価を受けています。
カートゥーンの基本になるのは、風刺や笑い、誇張のセンス。描く技術と同時に、独自の視点と斬新なアイデアで自分の主張を表現する力が必要です。いま社会で起きていることを身近なものとしてとらえ、批評的な視点で「時代」を切り取り、表現するためのトレーニングを行っています。また、3年次からはカートゥーンクラスと絵本クラスに分かれ、独自のアイデアや視点を活かして、さまざまな作品づくりに取り組んでいきます。
カートゥーンコースの授業では、さまざまな業界からゲスト講師を招いています。画力で人を魅了するイラストレーター、日常を鋭い視点で切り取る落語家、観客とのコミュニケーションを言葉や動き、美術でつくり上げる舞台演出家など。それは、自分自身の意見をもって社会や人を描くため、視野を広げてもらいたいから。ゲスト講師らが独自の視点で切り取った社会や作品にふれ、多様な視点をやしないます。

「じつはこのなかに自分が隠れてるんです」。「群集」の課題で描いた、色も構図もにぎやかな作品。高校時代は油絵をやっていたんですけど、あるとき、人物の風刺画が描かれた外国のポスターを見て衝撃を受けたんです。紙とインク、シンプルな線だけで、これほどの表現ができるんだって。1枚の絵に笑いや批評、深い意味を込めるのがカートゥーン。人でも風景でもじっくり観察すること、独自の視点でヒネることが大事です。基礎をみがくため、1年次はスケッチブック抱えて動物園通いですよ。夏休みの課題はクロッキー600枚以上。朝から閉園まで描いてました。テレビを観れば「この人はどんな動物にできるかな」と思うし、電車に乗れば人の立ち方や足の組み方をじっと眺めてしまう。人物を描くのがとにかく楽しい。この先生の鼻毛が彫刻刀だったらどうなるか、ここに小さなおじさんがいたらおもしろいかな……なんて、常にヘンなことを考えてますね(笑)。だれも思いつかないような発想で、でも一瞬でクスっと笑える。そんな作品を描きたいですね。
藤木乃明 2年生 大阪府 初芝富田林高等学校出身
対峰館にある実習室。各回生ごとに教室があり段階に応じた課題に取り組む。
カートゥーンギャラリーではアジアや欧米の代表的な作家によるマンガ作品が展示されている。また、学生の作品の発表の場としても活用できる。
精華のカートゥーンコース出身者の確かな画力は、外部からの評価も高い。社会的な問題意識やユニークな発想力もあわせ持ち、さまざまな分野で活躍が期待される。
公募展への出品や雑誌投稿、作品展を重ねながら、カートゥーン表現を追求する人、絵本作家として活躍する人など。創作活動の舞台は大きく広がっています。
デッサンで徹底的に鍛えた画力は大きな強みになります。雑誌や書籍で活躍するイラストレーター、ゲームデザイナーやアニメーターになる人もいます。
カートゥーンを描くことを通じてみがかれた鋭い批評力や社会をみつめるジャーナリスティックな感性を活かせば、編集者や新聞記者、評論家などの道も。