日本画は「自然」と「心」を描く伝統美術。岩絵具やニカワ、和紙など自然に近い画材・用具の使い方から表現方法まで幅広い選択肢があります。精華の日本画コースでは、ものの見方、考え方、表現の仕方を研究し、伝統技法を習得したうえで、広い視野で未知なる世界に挑戦。そして、日本画ならではの表現を用いて、「いま」を生きる感性を描き出すことが目標です。
日本画の基本は「感じること」。授業では、古典作品から日本ならではの表現精神を学び、写生の実習を重ねて感性をみがきます。草花や果実の形、風景や動物のありようをみつめ、ていねいに写し取っていく作業は、基礎技術の習得にも役立ちます。対象と向き合い、その内側にある美や生命力を感じ取る体験から、描くことの意味を学び、ものの本質をとらえる心の目を育てていきます。
基本を身につけたあとは、学生が表現の幅を広げられるよう教員がサポート。画材や用具の選び方も含めた、さまざまな技法を習得する授業や、のびのびと発想させる自由制作。さらに独自の画風と手法をきわめた作家である教員たちから身近でアドバイスを受けられるのも貴重な体験です。精華の自由な表現を学んだ学生・卒業生への評価は高く、大きな賞を受ける人もたくさんいます。
四季折々の風景が美しい京都の街。お寺や神社、博物館や美術館には多くの日本画作品が収蔵され、日本画を学ぶには絶好の環境です。精華のキャンパスもまた緑豊か。シカやクジャクなど写生用の動物もたくさん飼育されています。3年次からは、絵巻・屏風・掛け軸などの伝統様式を現代に活かすゼミも開設。「日本画の都」京都ならではの豊かな風土と伝統から、思うぞんぶん学ぶことができます。

「現代にも通じる題材を考えた」と言う、「異時同図法」の大運動会絵巻。日本画に興味をもちはじめた高3のころ、精華を見学に来たんです。日本画棟のすぐ裏に森が広がり、シカや鳥まで飼っている。こんな風景やモチーフに恵まれた大学で学びたいと進路を決めました。入学すると、岩絵具の使い方から、乳鉢や雪平鍋などの道具まで新鮮なことばかり。2年次に描いたワニの絵は、激しい気性や躍動感をどう色で表すか、試行錯誤を重ねました。そうやって絵具や道具を理解していくんですね。
3年次からは「和の工房」というクラスを選択し、伝統工芸の手法を学びました。掛け軸や屏風、絵巻物。京都の職人さんが指導に来てくれます。木枠に和紙を貼り、蝶つがいを付け、金箔を貼り……。私は、平安貴族と現代人の騎馬戦を描いた屏風や、運動会の種目をちりばめた絵巻をつくりました。人が入り乱れた躍動感ある図柄が好きで、卒業制作も雪合戦の屏風です。
アートであり、暮らしの道具でもある伝統工芸には、歴史や土地の風習、季節感が詰まっていて、京都でないと体験できないことばかり。春から母校の高校で美術を教えますが、精華で学んだことを伝えていきたいですね。
池田はる果 4年生 大阪府 帝塚山学院高等学校出身
絵実習室は絵を描くための日光の入り具合までが計算されている。
写生のための動物が飼育されている獣舎。
日本画は日本が世界に誇る芸術であり、比較的、作家として活動しやすい環境にある。一方で、伝統産業やデザインの分野で専門性や画力を活かす道もある。
大きな展覧会で、在学生・卒業生が高く評価されている日本画コース。公募展や個展でキャリアを積み、作家として活躍する多くの卒業生がいます。また、中学・高校で教職に就く人もいます。
和紙や染織、着物や漆工芸、文化財の修復など。京都には長く受け継がれてきた伝統文化と技術が多く残っています。職匠のもとで伝統の重みにふれ、その技能を受け継ぐ人もいます。
たしかな基礎画力があり、自然描写にすぐれた日本画コースの学生はデザイナーにも適しています。毎年数名がゲーム会社に就職し、キャラクターや背景デザインなどを手がけています。