人文学研究科 科目構成 Curriculum

人文学研究科の教育課程は、「表象領域特講」からなる専門特講科目と、「人文学特殊講義」「人文学合同演習」「人文学基礎演習」などからなる専門研究科目、そして共通基盤科目があります。
個々の関心領域に広がりと深さを与えるべく、方法論の手解きから最新かつ萌芽的研究を含めた高度な理論まで、多様な授業が用意されています。

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専門特講科目

表象領域特講1

受講生の研究テーマを社会学する

受講生がどのような学部で何を学び、どのような卒業論文を書き、そして大学院に入ってどのようなテーマでなぜそのような研究をしたいのかという個々の来歴と問題意識に沿いながら、受講者の積極的な参画のもと、社会学的な観点から参考文献やアプローチ方法を共に思索する。この協同的な授業を通じて、社会・文学・歴史についての柔軟な思考と幅広い教養を身につけ、自分なりの問題意識から討論・発言する技術を身につける。

表象領域特講2

「モダンガール」問題を考える

1923年のはじめに日本語文化圏に登場した「モダンガール」について、ジェンダー編成の問題を射程に入れつつ、日本、アジア、欧米の同時代資料と最近の研究論文の双方を検討しながら、講義と、参加者によるリサーチやレジメを準備した報告、参加者相互のディスカッションを通して考える。

表象領域特講3

日本中世の裁判と掟

日本中世を対象として、幕府や寺社などで実施された裁判記録を講読し、同時代の社会問題やその解決方法について確認する。その際、公権力による裁判だけでなく、いわゆる慣習法も踏まえた検討も重視する。

表象領域特講4

「記号論」の視点から、日英語などの言語と文化の特質について考える

「記号論」は自然科学と人文科学の別を問わず、あらゆる分野における値の探求に学際的な新しい見方を示唆する豊穣な知の泉であると考えられる。本授業ではソシュールやパースの記号論から日英語などの言語とその文化の特質について、受講生による報告、ディスカッション、授業者による補足やまとめ、という形式で考察を深めていく。基礎知識や理論を身につけながら、同時に効果的な学術発表や実践的なプレゼンテーションの方法と技術を習得していくことが求められる。

専門研究科目 人文専攻

人文学特殊講義1

人文学研究のための人文知の獲得と実践的応用

人文学の学問領域的「特殊」性を「普遍」に帰すことを原理とする人文学そのものについての理解を深めると同時に、その人文学的学究姿勢とそのアーツ(arts)を実践的に磨くことを目的とする。軸足を置く専門領域が異なる教員と学生とが互いの研究内容についてフラットな立場で真摯に対話・発表を行うことによって、統合的でアカデミックな人文知を育んでいく。

人文学特殊講義2

フランス19世紀美術史研究および西欧キャノンの彼方に現在の造形を探る

19世紀以降を中心として、西欧の造形芸術と、非西洋世界との交渉に注目し、両者の交渉のなかで、いかなる表現がかたちをとったのか、両者の理念の違いがどのような葛藤を生み、妥協や相乗を起こしたのかを批判的に検討する。グローバル化が謳われる21世紀にあって、こうした過去の経験から何を学び、いかなる可能性を見いだすか、将来への方向性を探ることを目的とする。

人文学特殊講義3

社会調査の「いろは」

社会調査の基礎を学ぶ。用いる教科書はどちらかというと量的調査に重点を置いたものであるが、質的調査を予定している受講生に対しては他の資料も用いながら必要に応じて補足説明を加える。最終的には、自分のテーマと社会調査がどのように関わるかを見極め、自分のための量的調査ないし質的調査のための調査企画書を作成する。(研究において実際に調査を予定している場合はその内容で作成し、予定がない場合は自由に仮の設定を考えてよい)

人文学特殊講義4

フィールドワークの基礎と実践

修士論文レベルの学術論文を作成する上で必要な技能を身に付けるための一環として、人々の暮らしや文化の実際を理解するために有効な方法であるフィールドワークの意義や方法について学ぶとともに、自身でテーマを設定し実際の調査を実践し、その結果を整理・分析・発表することによって手法の習得をめざす。

人文学特殊講義5

日本の芸能文化

現在も様々な年中行事が各地域では行われているが、その起源は奈良・平安時代の宮廷行事に遡るとされることも多い。本授業では年中行事の内容を記述した平安時代の儀式書を取り上げ、行われていた内容を理解するとともに、その意義について考える。基礎的な史料読解のための知識を得た上で、平安時代の行事の実施内容を検討し、その後中世・近世・近代に至って年中行事がどのような変容を遂げるのかを調査・分析する。

人文学特殊講義6

都市文化とは何か

日本の代表的な祭りである京都「大文字五山送り火」を中心に、日本における王都のもつ都市性を考える。それを、アフリカ・カメルーンの伝統王都の祭礼・宗教・文化と比較・対照することによって、京都を相対的に捉えることを試みる。同時に、王都・都市・キャピタル・首都・中心集落とは何かを問うことを通じて、中心や頂上や権力地といったVistaが、いかに周辺に支えられているかについて考え、文化創造の可能性と平等の実現可能性を見出していきたい。

人文学合同演習

人文学入門

フラットな立場で自身の研究テーマについて真摯に対話・発表を繰り返すことで、人間と社会と文化をめぐるあらゆる事柄を研究対象とし、固着した学問領域の枠にとらわれず、普遍的・横断的なアプローチで独自のテーマを追究する人文学そのものについての理解を深め、同時に既成の枠組みにとらわれずに人間の過去・現在・未来を自由に探究できる人文学的学究姿勢とそのアーツ(arts)を実践的に磨き、自身の研究方向を定めていく。

人文学基礎演習

修士論文作成の基礎

研究の基礎作業として、自らの研究の方向の妥当性と独創性を検討する。ディスカッションを通じて、自身の研究の価値づけと位置づけを確認し、具体的な研究テーマおよび対象を定め、必要な調査や作業の手順を整理し、修士論文の作成計画を設定する。

人文学演習1

修士論文の基礎

「前期中間報告会」に向け、1年次に設定した修士論文の作成計画に沿って内容を確立しながら、資料収集や、必要に応じて種々の調査を行なう。研究に必要な全ての資料やデータを収集し、その分析方法を検討のうえ確定し、成果たる修士論文の構造を設計する。

人文学演習2

修士論文の完成

「後期中間報告会」、「最終報告会」に向け計画を見直しつつ、研究対象の直近の状況を踏まえながら必要に応じて追加で資料を読解するなど、自らの研究に対し絶えず再検討と深化を加えながら、各自の研究テーマについて真摯に修士論文を執筆する。