京都精華大学 教育後援会
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京都精華大学
2015年12月9日
  • 活動報告

教育後援会 懇親事業『菓子にみる伝統文化』 開催報告

10月31日に2015年度の懇親事業を開催しました。

教育後援会の懇親事業は、会員間の親睦を深めることを目的に、年に1回開催しております。今年は、近年好評をいただいている京都の文化に関するテーマより、京菓子に関する講演会を開催いたしました。講師は、有職菓子御調進所「老松(おいまつ)」の太田達さんにお願いしました。また、司会は、本学人文学部の卒業生で、伝統工芸分野での執筆活動などで活躍している工芸ジャーナリストの米原有二さんが務めました。


講義の冒頭では太田さんから会場に「お菓子の生産量と、そして消費も多い都市はどこでしょう?」との質問がありました。ラテン系菓子も多いパリ、チョコレート菓子で名高いウィーン、文化の交差点としても発展した香港、そして4つ目の都市が京都なのだそうです。会場は活気づき、リラックスした雰囲気に包まれました。


菓子が簡単に手に入らなかった時代、菓子とは貴重な物であり、神に捧げられてきました。それがコンビニでもスーパーでも簡単に手に入る時代になり、高価なものという意識が無くなってきたと、太田さんは続けます。「ある時期を境に、カステラの敷紙にくっついたお焦げを食べたことが無いという人が増えました。実はあの部分が最も美味しいのですが、それは菓子に対する“もったいない”という意識が減ったからではないでしょうか。」との投げかけには、会場のみなさんも頷いていました。

茶人でもある太田さんは、菓子とは「コミュニケーションツール」だと語られました。元来、菓子や酒の役目は「神と人」、「人と人」を繋ぐもので、お中元やお歳暮も昔は菓子か酒が主であった。酒は地域での交流の場などさまざまな場面で、内気な日本人の会話を促してきたといいます。そして菓子は、お供え物など、神様と繋がるために、またお茶席を供にする、人と人との間をとりもつツールとしても発展してきた歴史があるそうです。中でも京菓子は特に「有職儀式典礼に用いる菓子、または、茶道における菓子」と定義づけられます。菓子は茶事の演出においても重要な位置を占めてきました。お茶席ごとに、それぞれの菓子に繊細な意味づけがなされているということ、菓子における見立ての工夫や物語などのお話も、とても興味深かったです。太田さんが講義中に言われた「菓子は共通認識の遊び」ということが、深く理解できました。


講演会の後半には老松の、季節にちなんだお菓子が供され、お話とあわせて味覚でも京菓子を楽しみました。


終盤の質疑応答では、お茶とお花との関わりについての質問も出ました。太田さんは茶道における雪月花に言及しながら、雪の積もった日に茶会を開いてみんなで雪景色を眺め、雪の下に息づく生命力に思いを馳せるというお話をしてくださいました。そのように茶道では目に見えないものも大切にしており、それは菓子を作る時に中の餡も大事にすることとも同じだという答えで講義はしめくくられました。

普段接する機会の少ない、茶事にまつわる知識もたくさん得られ、地域や歴史に根ざしたお菓子の紹介も面白く、あっという間の楽しい講演会でした。

ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。来年度の懇親事業もみなさんの興味・関心に応えるテーマで企画したいと考えております。ご意見・ご要望がございましたら事務局までお寄せください。