研究プロジェクト Research Project

中世荘園制の展開と環境復原

yoshinaga

若手研究 日本史関連
研究期間:2019−2022年度

人文学部特任講師 吉永 隆記

研究の目的

荘園とは、一般的に中世の貴族や寺社といった領主層の保有する所領を指すものと理解されています。ただし、荘園が所在する地域社会の側に立てば、自分たちの生活・生業・連帯の枠組みであった点も忘れてはなりません。自分はこれまで、中世に存在した荘園や、その内部にあったより小さな枠組みである村落に注目することで、中世の地域社会像を明らかにしていくことに強く関心を持っていました。
しかしながら、古文書や古記録といった、文献史料で解明できることには限界もあり、そもそも関係する史料そのものが少ない荘園の方が多いのです。そこで本研究では、史料的制約がある荘園について、多様なアプローチから中世荘園や村落の様相を検討していくことを目的としています。

研究の方法

本研究の特色として、古文書などの文献史料が少ない地域に対し、歴史地理学の研究手法を荘園研究に取り入れている点があります。荘園が存在した中世の荘園や村落の景観を復原する手法を試みるものです(環境復原)。
具体的には、まず地名や屋号といった情報の収集や、地形や田地や集落への水利関係の確認などを行います。それらの情報を踏まえ、地理情報ソフトや、地形解析ソフトを利用し、昔の景観を視覚的に復原していきます。
もちろん、文献史料からの情報を確認する作業は、こうした手法の前提として必要になってきますが、文献史学の限界を補う意味でも、今後ますます必要性が高まってくる方法といえるでしょう。

研究の展望

以上のような研究は、個別の荘園や村落ごとにじっくりと行っていく必要があります。このような取り組みが、各地の荘園研究に取り入れられていくことで、史料的制約を理由に研究が遅れていた地域についても、地域の歴史が解明されていくと期待されます。また、地理情報ソフトや地形解析ソフトを用いて環境復原を試みることで、地域の変遷を視覚的に追っていくことも可能です。いずれはこうしたデータが蓄積されていき、データベース化されていくことが期待されます。