セイカ探検隊学生ブログ

マンガ家、藤田和日郎さんへインタビュー!


こんにちは!音楽コースのニシです!

 

今の時期、音楽コースはどの学年も大忙し!

座学の授業だけではなく、イベント企画、フリーペーパー制作、4回生は卒業制作にも追われています……。

かくいう僕も、授業で企画しているイベント開催に向けて忙しい日々を送っています。

やらなければいけないことが山ほどありますが、自分たちが企画したイベントのために頑張るのは楽しいものですね。

 

さて、今回はマンガ家、藤田和日郎さんを講師に招いたアセンブリアワー講演会「才能のない俺たちは」の様子と、講演会終了後、特別にさせていただいた、藤田さんへのインタビューをお届けします!

 

 

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藤田 和日郎(ふじた かずひろ)

 

1964年5月24日生まれ。北海道出身。

 

1989年:第2回少年サンデーコミックグランプリにて、『うしおととら』が入賞し、連載開始。

1991年:『うしおととら』で、第37回小学館漫画賞・少年部門を受賞。その他代表作に『からくりサーカス』『月光条例』など。

2015年:20年以上の時を経て『うしおととら』が初のTVアニメ化。

2016年:週刊少年サンデー17号より『双亡亭壊すべし』を連載開始。


 

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講演会は、最初から最後まで藤田さんのマンガに対する熱い思いに包まれていました。

藤田さんが語るマンガ家と編集者の関係、新人の心得、そして「才能」とは何か……

その言葉ひとつひとつに、来場者全員が真剣に耳を傾けていました。聞き手として、藤田さんの初代担当編集者であった武者正昭さんが来られました。

 

ちなみに、アセンブリーアワー講演会は本来、録音撮影禁止。ですが今回は、藤田さんのご厚意で録音撮影がなんとOKに!後で理由をうかがうと、「たいしたこと言うわけじゃないし、顔出しNGの人じゃないし」とのこと……。いえいえ、とんでもない、胸にグッとくるアツいお話ばかりでした。

 

藤田さんが講演中に語ったことの中には、音楽コースの僕でも「なるほど…!!」と思うことが多々ありました。藤田さんの考えはマンガだけではなく、すべての創作活動をする人に通じるのではないかと感じるほど素晴らしい講演会でしたよ!

 

 

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ここで、講演会の様子を少しだけピックアップ!

 

藤田 和日郎さん(以下藤田):

 

28年間、週刊連載で漫画を描いてきましたけど、いまだに才能ということがよくわからないんですよね。でも、みなさんの中にも才能というものが、一体どういうものか完全に把握できる人はいないと思うんですよね。俺自身に、才能があるかどうかなんてわからないし、みなさんの中にも「自分に才能があるのだろうか?」って疑問に思う人はいると思うんです。でも「お前が自分の中に持ってない才能」とは、一体何を指して言ってるんだ、っていうことになりませんか?

 

俺のアシスタントで「藤田さんみたいに楽しくネームが描けないし、やる気いっぱいに描けないから、僕には才能がないんです」っていう奴がいるんだけど、「お前は俺の何を知ってるの」ということですよ。俺がいつ楽しそうに原稿を描いてるんだよ(笑)!

 

聞いてくださってるみなさんの中には読者の方もいるので、本来なら「楽しいです」と言うほうが良いんですが、ここにいるのはマンガを描いている、もしくは何かを創作している人たちだと思うので正直に言います。何かを創作するっていうのは、苦しいことの方が多いんです。そして、苦しんでいるかどうかなんて他人にはわからないんだよね。だから、ネームを描き上げてペン入れをするのが楽しそうだから才能がある。苦しみながら描いてるから自分には才能がない、なんて簡単に思われちゃ困るんだよね。

 

 

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いきなり重要なことを言うけど……マンガ家の場合はね、みんな才能ないんだわ。「才能や運は持ってない」から始めないと一歩も進めないの。「あいつには運があって俺には運がない」「才能があるはずなのに上手くいかない」なんて思っちゃうと心が荒んじゃうの。

 

うちのアシスタントたちに言っていることと同じなんだけど、みんな運とか才能っていう、得体の知れない言葉にこだわりすぎるんだよね。だから「運や才能がないとマンガ描いちゃいけないの?」っていう開き直りから始めるしかないんだわ。俺がそうだったからね。うちのアシスタントからも「天才だ!」とか新人の頃にもてはやされていない奴が努力してマンガ家としてデビューしているからね。雷句誠とか安西信行、それから井上和郎ね。だから、運とか才能とかはもう忘れよう。

 

だれもが、ポケットの中には60円しかもってないんだ。その60円でどうやったら楽しいかを考えながら一歩一歩ネームを描いていかないといけないんだよね。ただ、高橋留美子先生やあだち充先生、そういう人たちは25,000円も持っている(笑)。

 

で、60円しかないそのときに、こう考えてほしい。「才能なんて自分でわからないんだから、自分で才能のあるなしを決めつけない」。才能のあるなしを判断してくれるのは作者でも編集でもない、第三者、読者たちなの。だから、自分で才能があるとか、そういうことは忘れましょう。

 

自分には幾ばくかの才能があると思っている人はこの中にもいると思うけど、その才能はマンガ家に必要なものではないかもしれない。俺の知り合いにゲームをたくさんやってるやつがいて、ゲームのいろんなパターンを知っている。そいつはRPGのこともいっぱい知ってて、「俺はゲーム作るなら、こういうストーリーで、こんな設定の方が好みで……」と、たくさん物語のストックを持っている。でも、これは才能じゃなくて、ただの知識だよね。

 

才能ということを忘れることから第一歩は始まるよ。自分になにもないって分かることは悔しいかもしれない。でも、マンガの持ち込みをしたときに「俺には才能も、知識もない、でも頑張るしかないんだ」って気づかされて、人の話を聞かないとマンガ家になれないと痛感して、人の話を聞くようになる。才能というのは、人の話を聞くこと、聞いたことを自分の中で上手に面白く再現できること。

 

そして、マンガ家になるための話をしてくれるのは編集者なんだ。親でも友達でもない。だから自分の主張はせずに編集者と話をして、編集者が自分になにを求めてるかを聞こう。

 

何かを作っている人にとって、作品に対する評価って肯定的な方がいいよね。否定の言葉なんて聞きたくないよね。はっきり言いますと、マンガの編集者は「自動的に嫌なこと言うマシーン」だと思ってください(笑)。編集者が嫌なことを言わない場合、連載取れてますからね。諦めましょうということは言いましたが、嫌なことを受け止めて、一つ一つ乗り越えていくしかないんです。近道なんてないんです。「あいつはネットで成功して、あいつは同人で成功して……」とか、ついついいろんな情報を聞いてしまいがちかもしれませんが、それを忘れることから始めるしかないんです。みんな、いい人たちの話を聞きすぎる、才能があると思っている人たちの話を聞きすぎるから、自分に才能があるかないか気になっちゃう。みんな無いんですよ。

 

運も才能もなかったら何にもないじゃないか、ということになるんだけど、それは「方法」でなんとかなるんです。面白いものを方法で作ることができます。それから、その方法はみんな心の中にある。見てきたもの、面白かったものの中に答えがあります。それを、なぜ面白かったかというのを自分の中で言語化する。こういうキャラが好きで、こういうストーリーが好きで……自分の好きなものの中に眠ってんの。それが60円なんだよね。新しいものを勉強することは大切だけど、自分の中にある「好きなもの」がもう武器になってるんだよね。……さっき言った60円がやっと結びついた!(笑)。

 

 

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この後、藤田さんは講演時間の半分以上を残した状態で質問コーナーに移行。つまり講演の半分以上の時間、藤田さんは来場者と対話をしてくれたんです。それってすごいことだと思いませんか?藤田さんの熱意に打たれ、会場からは質問をする人が続出。

 

いくつか、質問コーナーでお話されていた様子を紹介します!

 

—自分の考えたアイデアが読者に伝わるのはどんな気持ちですか?

 

藤田:

 

すごく気持ちいいよ!自分の好きなこと、考えたことが相手に伝わって「それは面白いねえ」って言ってくれた時ってすっごくいい気持ち。だから、我々マンガ家は相手に伝わるように一生懸命、丁寧に描きます。そのときに「言語化」が重要になってくるんだよね。「それの何が面白いの?」っていつも聞かれてるつもりで、どのシーンが面白いのかが伝わるように全力で描きます。それが、マンガ家のモチベーション、目的になったりします。

 

—藤田先生の作品って脇役がすぐに退場しなかったり、殺されなかったり、脇役にすごく優しいですよね。そのあたり何を意識して描いているんですか?

 

藤田:

 

作品を読んでくださってどうもありがとうございます。自分自身どういうキャラが好きでどういうストーリーが好きか考えたとき、俺は義理人情に熱くてカッコいい男が好きなのね。それと、ピンチに陥っても大逆転してハッピーエンドになる話が好きなの。自分はそのヒーローにはなれない……つまり、「うしお」や「とら」にはなれないんですけど、その横で見ているやつにはなれる。モブや脇役の人間になって、自分は物語の顛末を見ているんだなって感覚でマンガを描いてます。マンガ家の中には自分が主人公のつもりで描いている人もいますが、俺は「ケンシロウを見上げるバットやリン」の目線でマンガを描けていけたらいいなと思います。

 

 

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—藤田さんの作品には幅広い年齢のキャラがいて、それぞれにストーリーがありますが、何か意図があるのですか?

 

藤田:

 

深夜アニメとかでちょっと気に食わない点があって、出演キャラの年齢層の幅が狭いっていうのがあるのよ。おじいちゃんおばあちゃんとか、働いてる青年がで出てくるとか、ちっちゃい子供がでてくるとか、幅広い世代が登場したら、物語の深みが出るのになあって思うの。あるおばあちゃんのキャラクターを面白く動かすことができたら、そりゃあ強いぜ。おじいちゃんおばあちゃんと若者の絡みって絶対に面白くなるから。それにもし興味があるんだったら、やってみて。お年寄りのキャラクターの言ったセリフってすごく説得力がある。それと、方言のキャラクターを出すと生々しくなってキャラが立ちやすくなる。こういうのは俺たちが覚えておいていいようなテクニックだよね。

 

—キャラクターの死に様とか、死に際のセリフは始めから考えてるんですか?

 

藤田:

 

殺すキャラクターは大好きなキャラクターなの。だから、死ぬことによってスポットライトを当ててやりたい。俺の大好きなキャラクターがその他大勢のモブと一緒に戦いを見上げているのは許せない。「死に様は生き様」だと俺は考えてる。主人公よりも好きっていうぐらいのキャラクターが死ぬときは、そいつが一番好きなもののために死ぬようにしてる。「こいつはこの生き方しかできなかったんだ」「こいつはこういう大好きなもののために戦って死ぬんだ」ってスポットライトを当てたい。

 

だから、好きなキャラクターこそ殺してやりたい。そしたらみんなも覚えてくれるでしょ? そういうつもりで制作してるから、大抵の登場人物は出てくるときにもう死の影を背負ってるの(笑)。さっき話した、「好きなことを言語化したら強い」ってことなんだけど、俺の場合は「色気があって飄々とした男が死ぬのが見たい」ってことだから、そういうキャラクターは出した瞬間に死の影を背負っている。週間連載だから先のことは考えにくいけど、去っていくキャラクターは出たときには決まってる。だから着々とストーリーを進めつつ「こいつはこうやって去っていくんだなあ」と思いながら物語を考えることが楽しいですね。

 

講演会が終了しても、「しばらくここにいるから、何か聞きたい人は聞きにきてよ」と、どこまでも朗らかで、何でも話してくれる藤田さん。多くの質問に、一つ一つ真摯に回答する姿をみて、後進の育成にとても力を入れている方だと思いました!

 

今日の講演会を聞いて、自分の創作への大きなヒントを得た人がたくさんいたと思います!

 

 

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さて、ここからは僕から藤田さんへのインタビューの模様です!

 

マンガ好きの兄の影響で「うしおととら」を全巻読んでいたので、その作者である藤田さんにインタビューできる、そう思うととても緊張しました。

しかし、実際にお話するととても気さくな明るい方で、自然と緊張がほぐれました。

また、藤田さんがヘヴィメタル、ハードロック好きで、僕もそのジャンルが好きということもあり、音楽の話で盛り上がる場面もありました。

 

 

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—藤田さんが大学生のころは、どんな学生でしたか?

 

藤田 和日郎さん(以下藤田):

 

結構遊んでたかな(笑)。俺は日本大学に入学して、漫画研究会に入ってたんだけど、出版社に自分のマンガ原稿を持ち込んだのは、実は4回生になってからなんだ。4回生になってやっと、卒業後のことを意識し始めたからね。

 

—大学在学中、マンガは独学で描かれていたんですか?

 

藤田:

 

いや俺は、あさりよしとお先生のところでアシスタントをしてたんだよね。そこで、あさりさんにいろいろ教えてもらったんだけど……今思えば、もっとたくさん教えてもらえば良かったなぁ。

 

—藤田さんのようにアシスタントを経験してからデビューするのと、大学でマンガを学んでからデビューするのでは何が違うと思いますか?

 

藤田:

 

もちろん、どちらも良いところがあるよね。俺はアシスタントを経験してからデビューしたんだけど、連載を始めたころってすごく孤独なんだよね。同年代のマンガ家の友達がいなくて……。マンガのことで困っていても、相談できる相手がいなかった。

でも、大学でマンガを学ぶってことは、仲間が大勢いるから一人じゃない。何か困ったことがあったときに、相談できる相手がいるのは良いことだよ。

 

 

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—藤田さんのもとでアシスタントをしてから、デビューされたマンガ家さんが何人もいらっしゃいますが、「育つアシスタント」と「育たないアシスタント」の違いはなんだと感じますか?

 

藤田:

 

それはね、「おっちょこちょい」ってこと。俺のところからデビューした奴は、みんなおっちょこちょいだったよ。そういう奴って、「あの作品はすごくかっこ良かったから、俺も同じようなことをやってみたい!」って感じたら、迷わずすぐに行動に移す。それで失敗したとしても、「どこがいけなかったか」を理解して、経験として身につけることができる。それを何度も何度も繰り返すことによって、経験が自信になっていくんだ。「こういう理由があるから、俺はやらない」なんて逃げて、何もしない奴は全然育たないよ。何事も自分から飛び込まなくちゃね。

 

—藤田さんはアシスタントの育成へ力を入れてらっしゃいますが、他のマンガ家さんも藤田さんのように、アシスタント育成に力を入れているのですか?

 

藤田:

 

人によるんじゃないかなぁ。他のマンガ家でも俺みたいに相談に乗ったり、マンガについていろいろ教える人もいるよ。でも、「君は背景だけを描く契約だから」って言い切るマンガ家も多い。俺は、アシスタントは一緒にマンガを描く仲間だから、何か困ったことがあれば相談に乗りたいし、俺が教えられることであれば何でも教えてあげたいと思うけどね。

 

—最後に、高校生へ向けて一言お願いします。

 

藤田:

 

マンガ家を目指す子は、高校生活、特に学校行事を思いっきり楽しんでほしい!作品には、自分の経験が表れるんですよ。例えば、高校の体育祭や文化祭を一生懸命にやった子は、どんな楽しさがあるかを知っているから、それをマンガで表現することができる。

 

自分が楽しんでやっていたことをさせるから、マンガの中のキャラクターもイキイキしてくるんだ。だから、「面倒くさい」「学校行事に一生懸命になるのはかっこ悪い」って理由で、一生懸命にやらなかった人は、いざ学校行事をマンガで描いたときにイキイキしたキャラクターを作れないんですよ。

 

サボるのはいつでもできるから、学校生活を一生懸命に楽しまないことはすごく損してる!。学校行事を頑張った経験は、絶対作品に生きてくるから。

 

 

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藤田 和日郎さん、ありがとうございました!

 

藤田さんは、ただ熱い思いがあるわけではなく、経験や努力に裏付けされた、非常に説得力のある言葉を持っている方でした。そして、努力や経験で得たものを、後進の育成のために惜しみなく広げることができる視野の広い方とも思いました!

 

京都精華大学のマンガ学部には、「新世代マンガコース」「カートゥーンコース」「ストーリーマンガコース」「キャラクターデザインコース」「アニメーションコース」といった多くのコースがあり、自分の学びたい分野を選ぶことができます。

 

またそれぞれのコースに、第一線で活躍されているマンガ家の方々が教員として集まっているので、プロの技術を身近で学ぶこともできますよ(自分の好きなマンガ家さんが教員の中ににいるかも!?要チェックです!)。

 

「マンガ学部ってどんなことが学べるんだろう?」、そう疑問に感じたならぜひ大学見学をして、学生や教員の生の声を聞いてみてください!藤田さんと同様に、マンガに熱い思いを抱く人々が、きっと話を聞いてくれるはずですよ。

 

大学見学のご相談は入試広報部まで

*を@に変えてください 

nyushi*kyoto-seika.ac.jp

 

 

nishi

 

学生ライター 

西健太

(ポピュラーカルチャー学部 音楽コース)


 

 

 


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