2014年度入学式 学長 竹宮惠子による式辞

2014 年 4 月 1 日

2014年度入学式 学長 竹宮惠子による式辞

新入生の皆さん、本日は京都精華大学へのご入学、誠におめでとうございます。
私たちの新しい仲間として心から歓迎の意を表します。

皆さんが今日、ここに集われたのは決して偶然のことではなく、皆さん自身が選択した新しい道への第一歩であり、志を同じくする仲間との出会いを今日から始める、ということを初めて意識する日となります。始まる、のではなく始める。つまり、自発的にすべてを選び取っていくということです。

大学は、これまでの中学・高校とは違い、個々の学生がそれぞれに自分を創り、デザインし、プロデュースしていく場所です。もちろん、これまでの人生でも個がなかったわけではありませんし、皆それぞれに違いを持っていますが、そういうこととは少し違って、意志的に、かつ戦略的に違いを創っていく段階に入るということなのです。自分を客観的に見る力も備わり始めているこの時期に、それぞれが自分の翼で羽ばたき始め、「翔ぶ」ということを覚えます。それは当然ながら、これまでとは全く違う経験となるでしょう。京都精華大学は、手仕事や社会と関わるプロジェクトを沢山用意し、学生の皆さんそれぞれが、自分だけの経験や知識を自分の手ですくい取り、かけがえのない自分色のレンガを積めるよう、全力でサポートします。大学で得るべき重要な学びはそれ一つだけであるといっても過言ではありません。
それは専門知識の中にあるかもしれないし、友だちや教職員との交流の中にあるかもしれない。これまでと違う学びの場所にあって、初めて「学ぶこと」や「学問とは何か」に気付く人もいます。人との交流も、これまでとは大きく違って、よく知っている親・教師・家族・友人などとは違う大人とも出会います。世界は広く、果てしなく広がっていて、「一つしかない答え」ではなく「知らなかった別の答え」が目の前に現われるようになります。理解していたはずの物事が、もっと深く大きくなって出現し、自分の理解がまだ足りないことを知る、そんな場面にも出会うでしょう。でもそれは難しくなることではなく、複雑になって「面白く」なるということなのです。ですから皆さんには、それを出迎えてぜひ楽しんで欲しい。そういう意味で、皆さんはちょうど人生の別の視点=「哲学」を学ぶにふさわしい時期にあると言っても良いかもしれません。ゲームなら難しくなったら投げ出せばよいでしょうが、リアル世界ですべての物事が複雑に細かくなっていく中では、ひとつ投げ出してもまた別のことが目の前に現われて、次の階段を上る必要性が出てきます。ですから、どんな些細なことでも良いからひとつ完遂して「上ること」をマスターしてください。それがきっと皆さんの助けになります。

芸術・デザイン・マンガ・ポピュラーカルチャー・人文と京都精華大学の学部はすべて、そのためのシミュレーションが小さなところから行なえるように、あらゆる部分から十分にプログラムしていきますので、用意される様々のプロジェクトやプログラムに安心して積極的に参加し、皆さん自身の中で階段を上っていくことを実感して欲しいと思います。大学は、皆さんのために用意された、社会人としての自信を身につけるための舞台です。この舞台で何もせずに過ごすこともまた、選択肢の中にあって、選択するかしないかは皆さんの自由に任されています。「自由自治」が京都精華大学の大きな理念であり、「人間尊重」を謳うが故に決して強要はしません。だからこそ、知らない間に時が過ぎてしまわないよう、選択する時を遅らせてしまわないよう、今から選択のための前向きな姿勢を固めてください。

「自由自治」という理念が出てきましたが、自由とは手前勝手の気ままではなく、責任や義務をも考慮しなくては行使できない厳しい権利でもあります。嫌なことを避けず、考えることから逃げずに、若者らしく一から真面目に何にでも臨んでください。そのことがきっと必ず、皆さんを一段ずつ高いところに上らせてくれるはずです。またそれぞれの選択は、時には持っていたもののどれかを捨てることにもつながることがあり、階段を上ってもほろ苦い思いをすることもあります。本当の経験とは、結果のすべてが経験者の貴重な財産として身のうちに残り、次の選択の大事な手がかりとなるようなものなのです。
大学の4年間は楽しいだけでなく、これから初めて重い経験もし、厳しい意見を聞くことにも出会うでしょうが、それは皆さんに絶対に必要な、最初の基盤となるものです。決してそれを未消化のままにせず、どうすれば自分にとって糧となるか、どうすればうまく発酵させて栄養になっていくか、4年をかけて熟成させるのだと決心してください。そうすれば、必ず4年後には、ここにいる皆さん全員が私たち教職員とも対等に話せる大人になって、京都精華大学出身の社会人として社会に羽ばたき、根を下ろせるようになると信じます。

「良く生きる」ための助走はもう、始まっています。皆それぞれに時期は違うと思いますが、次の選択がやって来たとき、しっかりと選び取れるように自分を高めていきましょう。そしてそれが、ここにいる全員にとって楽しい瞬間であるように、また悲しい時ですらも手のひらに何かを残してくれるように…私は学長室から皆さんに、心からのエールを送り続けます!

人生に一度しかない今日という日を、精いっぱい楽しんでください。
おめでとうございました。

2014年4月1日
京都精華大学学長 竹宮惠子

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