さまざまなメディアと結びつく音の可能性をとらえる

「音」や「音楽」はほとんどの場合、他の表現と結びついています。たとえば、ダンスでは身体と音の動きが繊細に絡み、映画の背景で鳴る音楽は人々の感情を左右します。ほかにもショッピングモールのBGMやスマートフォンの着信音など、日常は音楽で溢れています。音楽表現専攻では、音楽のこうした特徴に注目。たとえばゲーム音楽、店舗のBGMなど、音をつくり、響きをデザインすることは、コンテンツや場所の魅力を変化させます。「音」を情報としてとらえ、音楽の表現力をぐっと広げ、新しい社会を描く力を身につけます。

科目PICKUP

音楽研究概論
音楽にとって、楽譜や録音といったメディアは欠かせないものです。それと同時に音楽自体が、人々の間で情報を分かち合うメディアの役割を持つという面をもっています。そうした観点から、音楽を研究対象としてとらえるための基礎となる論点やアプローチ方法を解説します。
音楽技術論
ボーカロイドなどの歌唱ソフトウエアによる音声合成、AIによる自動作曲などの仕組みと活用方法、将来の可能性について学びます。同時に、音楽探索などの最新技術が音楽配信ビジネスなどの産業へ与える影響や著作権などの法的問題などについても理解します。

4年間で身につく能力

  • 「音」や「音楽」をつくる専門知識と技術
  • 音を分析し、表現の可能性を広げる力
  • デジタル技術を組み合わせる発想力

卒業研究のテーマ例

● ユーザーのプレイに応じて変化するゲームBGMの制作
● コンピュータを活用したサウンドパフォーマンス
● 音や映像、ICTを利用したエンタメコンテンツの分析
● 耳の「聞こえ」を向上させるトレーニングアプリ制作
● 視覚障害者と音で楽しむ映画音響システム

卒業後の進路

めざせる職業
ミュージッククリエイター / サウンドエンジニア / Webエンジニア / イベントオーガナイザー / Webメディア / 営業(総合職) など

主な就職先
音楽・音響スタジオ / ホールPA / イベント企画 / 放送・配信サービス / Web制作 / サウンドコンテンツ業界 / まちづくりNPO・NGOなど

取得できる資格

高等学校教諭一種免許状(情報) / 図書館司書 / 博物館学芸員 

VOICE

  • 西野 陽菜さん在学生

    音環境デザインでだれもが暮らしやすい社会をめざす

     私が欲しかった音楽やプログラミングに関する知識や技術が学べると思い、メディア表現学部に入学しました。音楽が好きなので音楽表現専攻を選び、音響技術やスタジオレコーディング、ミキシング、作曲などを学んでいます。いまは、授業のなかで「音環境」の重要性を知って、音環境デザインに興味津々です。「フィールドワーク」という演習は、いろんな場所で音を集めて聴いて、クラスメイトと気づきを発表して分かち合う、音フェチにはたまらない授業です。電子ピアノでプチ野外ライブをしたりもしました。
     今後、取り組みたいテーマは、皮膚からの音(振動)の取り入れ方の研究です。音の波形や周波数による感じ方の違いなどを視覚的に表現できないかと考えています。また、ミキシングやレコーディング技術も深めていきたいです。将来は、感覚が過敏な人、目が見えない人、耳が聞こえない人など、より多くの人が心地よく感じられる音環境をつくっていきたいです。一人ひとりのQOLを向上させて、多くの人が心身に余裕を持って他者に優しくできる温かみのある社会をつくれたらと思っています。
  • 落 晃子教員

    どんな世界が待ち受けていても世界を音楽に変えていこう

     メディア表現学部の音楽表現専攻の魅力は、音楽だけではなく、「音」について幅広く学べることです。何か一つの技能について学ぶというよりも、たくさんの知識と技能を組み合わせたり応用したりして、新しいものを発想し、つくり出す柔軟な創造力を身につけてほしいと思っています。
     私自身は、「世の中のすべてを音楽にしたい、すべての現象を音楽で表現したい、演奏するということはどういうことなのか、音楽とは何か、そもそも音とは何か…」と考えたあげく、パソコンを振り回したり光を当てたり、電源や充電器からの電磁波を拾ったりして演奏や音楽制作をするという、現在の表現にたどり着きました。
     私たちは新しいことにチャレンジしたい人を歓迎します。いまはまだ、自分が社会で活躍する姿が想像できなくても、少し過去を振り返れば、この先5年ほどで世の中がどのくらい変わりそうかイメージできるのはないでしょうか。これから先、どんな世界が待ち受けているのか、想像するだけでワクワクしませんか。一緒に世界を音楽に変えていきましょう。
  • 安田 昌弘教員

    最終目標は、 インターネットを介した 多文化音楽フェスの開催

    わたしのゼミでは、グローバル化が地域の音楽文化に及ぼす多様な影響を見定めつつ、オンライン技術を駆使して、インターネットがなければ思いつきもしないような異文化間の交流方法を考えたいと思っています。そのためには、文化の異なる人どうしの意見交換を促すファシリテーション能力や、文化と空間についてのさまざまな理論や実践の蓄積を活用するスキルが必要になります。最終的にはインターネットで世界各地を結び、多文化音楽フェスを実現したいです。