松岡環(アジア映画研究者)
「歌い踊るインド映画の世界〜その特異性と普遍性〜」(1999.09.30)

講演要旨
歌い踊るミュージカル形式に、ロマンス、アクション、コメディなどいろんな要素をつめ込んだインド娯楽映画。 『ムトゥ 踊るマハラジャ』(98年)のヒットにより、日本でもファンが急増している。
インド映画研究の第一人者が、アジアの伝統芸能やアジアの映画史の観点から、インド映画の歴史と現状、その映画技法を分析。 世界映画におけるインド映画の位置を考える。
プロフィール
松岡環(まつおか たまき)
大阪外国語大学インド・パキスタン語科卒業。
1976年よりインド映画の紹介を始め、日本初のインド映画祭も開催。インド映画研究の先駆者であり、第一人者である。 インド映画を中心とするアジア映画全般を、執筆や上映会を通じて紹介する活動もおこなっている。
字幕担当映画に『ムトゥ 踊るマハラジャ』『ラジュー出世する』など。 著書に『アジア・映画の都』(めこん)、共著に『インドがやがや通信』(トラベルジャーナル)等がある。
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講演レポート
10月28日に開催されたアセンブリ−アワー講演会では、アジア映画研究者の松岡環さんに「歌い踊るインド映画の世界〜その特異性と普遍性〜」についてお話していただきました。
参加者は学生も多かったのですが、学外の方の姿も目立ちました。会場に集まった参加者は、90分間たっぷりとインド映画の世界に浸ることができました。



松岡環さんの講演の内容は、年間制作本数が世界一と言われているインド映画の特徴について。
まず、その様式であるが、インド映画は、歌と踊りが入る、いわゆるミュージカルである。
また、歌と踊りの映画イコール娯楽映画とも言える。実際インド映画にはあらゆる娯楽要素が詰まっている。ナヴア・ラサと言って、色気、笑い、哀れ、怒り、勇猛さ、恐怖、憎悪、驚き、平安の9つの情感が織り込まれている。
また、上映時間が長いのも特徴である。ほとんどの作品が3時間弱(途中で5分の休みが入る)である。

このような特徴を持つインド映画は、インドの伝統演劇が発達してできたらしい。
最近のインド映画には6、7曲の歌のシーンがあり、1シーン5、6分でその長い中でたっぷりといろんなシーンを見せてくれる。最近の流行としては、歌のシーンだけ海外ロケをするものが多いそうだ。ストーリーはインドなのだが、歌のシーンだけスイスや雪山など海外ロケをして、見ている人にサービスする。その他にも、1コーラスごとに衣装がえをする。

インド映画は、コメディー、ラブストーリー、アクション、スリル、サスペンス、感動、そしてハッピーエンドなど様々な娯楽要素が入っている。また、歌と踊りが入っているせいで、一見特別な映画だと思われやすいが、そうではないらしい。
一方インドでは、芸術映画(アート映画)などのシリアスな社会的な問題などを取り扱う映画はウケない。理由は、生活が厳しいため映画に理想や憧れを求めているのである。映画に、自分たちのハッピーエンドを重ねて見る。映画を見る事で、厳しい現実を忘れる。そのためインド映画には生活感がない。

講演の中で、実際にインド映画をいくつか上映して見せていただいた。私は当初インド映画は、文化や言葉など全く違う国の異質な映画だと思っていたのだが、実際映画を見てあまり違和感を感じず見ることができた。
やはりどこかに同じアジアを感じたのだろうか。

 

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