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Fashion

「なぜ?」からはじまるデザイン
今までにないものを創造するために
五十嵐勝大(proefプロデューサー)

“視点”を変えて、既存のシステムを一新する

京都精華大学では、講師としてどんなことを教えているのですか。

五十嵐 人間の体の形は昔も今も変わらないので、服の“形”自体が大きく変化することは、今後ないと思うんです。今、最も変わってきているのは、素材、生産プロセス、そして見せ方や売り方などのビジネスで、ITと連動した提案などが発達してきていますよね。
そのため、これからのファッション業界で求められるのは、ITやテクノロジーを理解した上でプロダクトサービスを構築できるなど、知識にアイデアをプラスして提案できる人材だと思います。授業では、「企画は目標を掲げてから内容を詰めていく」など基本のところから、システムを構築するためのノウハウを教えています。講義での企画例を挙げると「店員とのコミュニケーションを控えたいお客さんのためのショップ」。参考にしたのは図書館です。共有スペースでありながらも、ひとりでじっくり本を読める席が用意されていますよね。服屋でも、そうしたスペースを店内に配置できないだろうかなど、接客しなくても買ってもらえる店づくりを考えてみる。ゼロから新しいものを作らなくても、視点を少し変えるだけで、今までになかったものが生まれるんです。
もうひとつ例を挙げると、ぬいぐるみの企画もありますね。「仕事としてぬいぐるみを扱う」と考えると、「キャラの形を考える」「作る」「売る」など新品を生み出す業務が浮かぶと思うのですが、“クリーニング”や“お直し”、“リメイク”といった関わり方もあります。僕が教えている学生たちが取り組んでいるのは“リメイク”で、ぬいぐるみを大切にしている人たちから回収して、何かしらの形に変えて届ける――というアイデア。“モノ”を作って売るだけじゃなく、“思い出”という目に見えないものを扱うという考え方です。
学生のなかには、自分たちのアイデアを本気でビジネスにしようと動いている人もいます。学生時代の起業は、もし失敗しても就職をするという軌道修正がききますし、社会人との交渉でマナーも身につくので、いいことだなと。僕はアドバイスをして、彼らの活動を後押ししています。

五十嵐さんはプロデューサーになるまでの間、ファッション以外の分野を学ばれていたり、専門学校に通ったりとさまざまな経験をされていますが、学生時代に勉強しておいたほうがいいことは何だと思いますか。

五十嵐 人とのコミュニケーション能力は仕事をしていく上でとても大事なので、身近な友人だけじゃなく、多くの人と関わってほしい。学校生活に関しては“興味のない授業”も無意味ではないと伝えたいですね。聞いていておもしろくなくても、「なぜ、自分は興味が持てないんだろう?」と考えることで、進路が定まっていくと思うんです。
また、学生の最大のメリットは“守られている”ということ。学生という立場に存分に甘えて、いろんなことにチャレンジしてみると力になると思います。就職してしまうと、その分野の専門知識は身にきますが、なかなか“幅広く”というわけにはいかないですから。遊びでも学びでも、ジャンルを問わずさまざまなことに手を出して、自分の可能性をふくらませられる。それは、学生にしかできないことだと思います。

インタビュー後記/蘆田裕史(京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部 ファッションコース教員)

ブランドのプロデューサーになるには

ブランドにはさまざまな職種の人が関わっています。デザイナーやパタンナーのほか、広報や営業など、どれが欠けてもうまくビジネスをまわすことはできません。プロデューサーはその統括をする役割。さまざまな局面において重要な決断をくだす必要が出てくるため、プロデューサーには客観的かつ冷静な判断力が求められます。
五十嵐さんはファッションだけでなく様々なジャンルの文化・芸術に触れることで「ものを見る目」を養ったと言います。ブランドを何年、何十年と続けるためには幅の広い視野が必要です。服の作り方だけでなく、売り方やシステムなどあらゆる点に目を配らなくてはなりません。

京都精華大学でプロデューサーを目指す。

京都精華大学のファッションコースでは、プロデューサーに必要な「ものを見る力」「客観的な判断力」を身につけることを目指しています。

  • ①ものを見る能力
    よいものを作るためには、何よりもまずものを見ることができなくてはなりません。ものを見るというのは、ただ眺めるだけでは十分ではありません。ものの構造や性質を的確に把握し、なぜそのような仕上がりになったのかを考える能力が不可欠です。実習や講義を通して、ものの本質を探る力を身につけます。
  • ②判断力の基礎となる知識
    物事に対して冷静な判断をするためには、論理的な思考が重要です。そのために必要となるのは、ファッションのみならず文化・芸術や政治・経済などさまざまな分野の知識です。大学ならではのバラエティ豊かな講義科目によって、苦手な分野の知識を補うことも、得意分野の知識を深めることもできます。
  • ③発想力と企画力
    どれだけ知識があっても、それを実際に使うことがなければ錆び付いてしまいます。ファッションコースの授業では、展覧会やショップの企画を通して、身に着けた知識を実践的に活用する方法を習得します。

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ブランディングについて学ぶ五十嵐さんの授業。

ファッションコースのカリキュラム
実習
1年 つくる実習 (すべて必修) 届ける実習 (必修)
ファッションデザイン
パターンメイキング / 縫製
デザイン論
2年 つくる実習 (必修) 届ける実習 (必修)
ファッションデザイン 雑誌編集・展覧会企画
3年 実習 (2クラスを選択)
モデリング(服飾造形) / コレクション制作
ブランド設計 / 展覧会・ショップ企画
4年 卒業制作
演習

スキルを身につける
グラフィックソフト
エディトリアル
映像 / 写真
ウェブデザイン
プレゼンテーション
インタラクション など

専門性を深める
縫製 / CAD
パターンメイキング応用
ファッションマーケティング
ニットデザイン
ブランドPR / 編集
グラフィックデザイン
ソーシャルデザイン など

講義

コース専門科目
ファッション史
ファッションデザイン概論
日本服飾史
ファッション批評
作品作家研究
素材論 など

学部開講科目
文化産業概論
批評論 / 美学
メディア論
身体表現論
視聴覚表現論
広告文化論 など
※他学部開講科目も履修可能

前半の2年間の実習では、希望進路に関係なく全員が、ファッションを“つくる”だけでなく“届ける”ことを学びます。3年次の実習では内容が専門化され、自分の目指す方向や身につけたいスキルに合わせてクラスを選択します。それと並行して、興味の幅を広げたり、やりたい仕事に必要なスキルを身につけたりするための講義・演習科目を履修します。そして4年次の卒業制作では、自分の決めたテーマにもとづいて作品制作やイベント企画、論文執筆などに取り組みます。

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