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Fashion

現場を見てきたから分かる、
ブランドPRに必要な“想像力”
市川渚(フリーランス)

仕事は“想像力”を働かせることが大事

市川さんのようにファッション業界で活躍するためには、どんな能力が必要になるのでしょうか?

市川 他の業種にも通じることで、情報収集を怠らず、常に「他人が何を求めているのか」という想像力を働かせることが大切です。ファッションが好きということは大前提ですが、いわゆる“ファッションセンス”のようなものが欠けていても、人の心を察知する力、必要な情報収集を効率よく行う力があれば、活躍できるのではないでしょうか。ファッションセンスが高いだけではダメなんです。これはどの業界でも変わらないと思います。

私もよく授業で、「創造力」よりも「想像力」が重要だという話をします。

市川 そのとおりだと思います。デザイナーもセンスだけでやっている人は、すぐに潰れてしまう。特に最近は、「お客さんが何を求めているのか」としっかり想像力を働かせて、分析することが重要になってきていますね。販売だったらお客さんに、PRだったらプレス(雑誌や新聞、ジャーナリストなど)に、どうやってブランドのファンになってもらうかを考えなければいけません。学生時代から人をよく観察して、想像力を養っておくといいのではないでしょうか。

市川さんには京都精華大学で授業をご担当いただいていますが、その内容についてお聞かせください。

市川 主に“PR”というのがどんなお仕事なのか、ブランドを発信するときに、戦略を持って臨むことがどれだけ重要なのか、ということを伝えています。デザイナーになりたい学生が多いようなのですが、私が見てきた限り、デザイナーの想いだけでブランドをやろうとするとほとんどうまくいきません。それには色々な原因が絡んでくるのですが、その原因の一つがPR的な目線がないがしろにされがちだからということ。ブランドが外に向かってコミュニケーションを取るときに、どんなルールを持って、どんな戦略でやっていくべきかということは、デザイナー1人ではなかなか考えられない。そこをきちんとケアすることで、ブランドはより良い方向に進むことができるのではないでしょうか。それでは、そのブランドにとって「良い方向」とはどういうことなのか、きちんと売り上げを立てるにはどうすればいいか…と、最終的に自分でPRの戦略を組めるようになってもらえればと考えています。また、PRの仕事を志すにしても、まずはものづくりの現場、販売の現場を経験してもらいたいですね。

「想像力」を働かせるためには、知識と経験が重要になってきますからね。

市川 そうなんです。あとは、最低限の社会のルール、常識やマナーですね。PRはすごく人と会う仕事で、時にはとても偉い人ともコミュニケーションを取らなければなりません。そこで失礼があると大変なので、礼儀はしっかり覚えて、またプレゼンもしっかりできるようになってもらいたいと考えています。プレゼンというと、みんな「嫌だ!」「心臓が飛び出そう!」というリアクションになるのですが、社会に出たら絶対に必要なスキルですからね。そうやって現実をつきつけるぶん、きちんと夢を描けるような業界の話をしたり、時には業界のゴシップネタを持ってきたりして(笑)。楽しく、真剣に学んでもらえたらうれしいなと思って毎回の授業に臨んでいます。

インタビュー後記/蘆田裕史(京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部 ファッションコース 教員)

既存の肩書きではなく、新しい肩書きをつくりだす

世の中には色々な職種や肩書きがあります。しかしながら、一部には既存の枠組みにおさまることのない人もいます。そうした人たちの仕事は一言で言い表すことができず、なかなか聞き慣れない肩書きになってしまいがちです。そのひとりである市川さんは自身の得意分野を生かして、デジタルとファッションをつなぐ“通訳”として働かれています。
ただし、新しい肩書きはゼロから生み出されるわけではないことが市川さんのお話からもわかります。市川さんはPRとして働き、そこでの経験を踏まえて新しい仕事を見つけ出しました。大事なのはゼロからの創造ではなく、既にあるものから一歩先に進むこと。そのために必要になるのが想像力だということです。

京都精華大学で「PR/コンサルタント」を目指す
  • ①まずはものづくりから
    京都精華大学のファッションコースでは、PRや編集者などファッションを“届ける”仕事に就きたい人もまずは服作りの技術を学びます。そうした職業においても服作りの知識は必ず後々生きてくると考えるからです。
  • ②できたものを届けるには
    市川さんが担当する「PR」の授業や、テーマを決めて冊子をつくる「編集」の授業など、商品はどのようにすれば人に届くのかを考える、実践的な授業もあります。
  • ③新しい仕事のつくりかた
    世の中にはまだ存在していない仕事もあれば、東京にはあるけど地方にはまだ少ない仕事もあります。既存の仕事の仕方に乗るのではなく、新しい仕事の仕方を見つけるにはどうすればよいか。そうしたことを「ソーシャルデザイン」や「ブランド設計」の授業で学ぶことができます。


市川さんが担当している「ブランドPR」の授業風景

ファッションコースのカリキュラム
実習
1年 つくる実習 (すべて必修) 届ける実習 (必修)
ファッションデザイン
パターンメイキング / 縫製
デザイン論
2年 つくる実習 (必修) 届ける実習 (必修)
ファッションデザイン 雑誌編集・展覧会企画
3年 実習 (2クラスを選択)
モデリング(服飾造形) / コレクション制作
ブランド設計 / 展覧会・ショップ企画
4年 卒業制作
演習

スキルを身につける
グラフィックソフト
エディトリアル
映像 / 写真
ウェブデザイン
プレゼンテーション
インタラクション など

専門性を深める
縫製 / CAD
パターンメイキング応用
ファッションマーケティング
ニットデザイン
ブランドPR / 編集
グラフィックデザイン
ソーシャルデザイン など

講義

コース専門科目
ファッション史
ファッションデザイン概論
日本服飾史
ファッション批評
作品作家研究
素材論 など

学部開講科目
文化産業概論
批評論 / 美学
メディア論
身体表現論
視聴覚表現論
広告文化論 など
※他学部開講科目も履修可能

前半の2年間の実習では、希望進路に関係なく全員が、ファッションを“つくる”だけでなく“届ける”ことを学びます。3年次の実習では内容が専門化され、自分の目指す方向や身につけたいスキルに合わせてクラスを選択します。それと並行して、興味の幅を広げたり、やりたい仕事に必要なスキルを身につけたりするための講義・演習科目を履修します。そして4年次の卒業制作では、自分の決めたテーマにもとづいて作品制作やイベント企画、論文執筆などに取り組みます。

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