日本の大衆文化を知る
神戸で図書館員として勤めた後、栗東町立図書館、後に栗東市立図書館になるのですが、そこで設立準備時から館長として働いていました。昭和61年ごろですね。当時は行政の効率化が進み、職員の数を少なくしなければならないという苦しい状況がありました。ですが一方で、人々からの図書館を求める声は強くなっており、各地で「本当に市民の役に立つ」ための図書館が創設されていたような時代でした。
新しい図書館を作るに当たっては、市民が最も求めている「貸出サービス」に力を入れましたね。利用者にとって重要なことは、読みたい本を自由に気軽に借り出すことができ、なおかつ好きな時間に好きな場所で読めることです。そのためにも、利用者が自分に合った本を探すために図書館員に質問をしたくなるような雰囲気作りに気を配りました。同時に、利用者の様子をよく観察することを意識して、真に求められているような蔵書を充実させていきました。こんなふうに利用者のニーズを知ることで、様々なサービスにつなげていくことができるのです。
たとえば、視覚障がい者へのサービスや在日外国人向けに、その国ごとの蔵書を充実させていく、といったサービスですね。他には、利用者の生活圏内に本を持っていく「移動図書館」、とくに子どもは保
先生の趣味はカヌーなんだとか。
護者と一緒でないと、自分からはなかなか図書館に行けない。だから、子どもたちが休み時間に本を読めるよう、小学校に移動図書館を持っていくことも積極的にやりましたね。
「情報館の職員さんがとても素晴らしいですね」ということで、一緒に撮影。
ですが、やはり新しく図書館を設置することが一番、効果があったんです。平成18年に栗東駅前に、栗東市立図書館の分館ができたのですが、それをきっかけにしてさらに利用者が増えました。すでに本を読む習慣がある人だけが図書館を利用するというものではないのです。図書館があることによって、今まで本を読まなかった人が読書をするようになる。それこそが図書館の力だと思いますね。
僕はこういう経験を活かして、主に図書館司書課程の授業を教えています。たとえば図書館実務としてのレファレンスサービスを体験してもらう科目や、図書館サービスの理論や歴史を学んでいく科目などです。学生たちには、利用者からは見えないところで図書館員が何をし、何を考えているのか、といった現場の話を多く伝えていこうと思っています。
電子書籍の問題ですね。新聞でいよいよ新刊小説が電子化されるという記事を読みました。日本に電子書籍の波が押し寄せてきた時に、図書館はどうするのか? 専用のリーダーを用意して、利用者からの「それを使って読みたい」、または「そのリーダーを借りて帰って読みたい」という希望にまで応えていくのか? また、これまでの紙の本がどうなっていくのか。これからの図書館のあり方が非常に興味深く、今後見守っていきたいと考えいます。
山口 康介KOSUKE YAMAGUCHI
人文学部 4回生
「京都精華大学の自由な雰囲気がとても良いですね」と微笑みながら言ってくれた竹島さんの顔を見ていると、何だか私も司書課程を受講したくなってきましたよ。
そして、竹島さんから図書館についてよく知ることができるおススメ本を教えていただきました。それは「フランクリン自伝」です。
アメリカ建国時に活躍した政治家のベンジャミン・フランクリンは 共に勉強する仲間同士で、それぞれが持っている蔵書をある場所に置き、誰でも自由に読むことができるという図書館の基礎の形を作った第一人者。
彼の考え方を知ることで、図書館の理解が深まるし、生き方の参考にもなるのではないか?ということです。
この本は、おもしろく読めるだけではなく、司書資格を取ろうか迷っている人にとっては、とても参考になる一冊かもしれませんね。
竹島 昭雄
教授読書を広げる図書館の力
山口 康介
人文学部 4回生