日本の大衆文化を知る
編集プロダクションで長い間仕事をしてきた経験もあり、主に「編集」という仕事がどのように変わってきたのか、ということが必然的に研究テーマになりました。
書籍の「編集」とは、原稿を集めたり、写真を撮ったり、デザインを依頼したりして「一冊の本を作る仕事」です。しかし今では、ケータイやiPad(アイパッド)などの登場によって、「編集する」「本を作る」という作業は変わり目にきています。紙の本で文字を読む時代から、電子書籍で情報を読む時代になりつつある。それは、みなさんが思っている以上に大きな変化です。メディアの持つ特性や影響力など大きく変わる部分がある一方で、「編集」という言葉でくくれる変わらない部分もある。
そこで、ただ時代に流されるのではなく、踏み止まって、変化していく私たちの感覚や環境を、学生たちと一緒に考えていきたいと思っています。
「編集論」では、雑誌や書籍ができるまでの流れや仕組み、そして出版の歴史についても教えています。昔は文字を原稿用紙に書き、編集者に渡し、それが印刷されることで一冊の本を作っていました。今はパソコンで文字を入力し、データで送り、本だけではなく様々な媒体で文字や文章が読めるようになってきた。便利になることや効率が良くなることは、とても良いことですが、その中で失われてしまったものもあると思います。新しいということだけで飛びつくのではなく、今、自分たちがどういう状況に置かれているのかを知っておくことはとて
も大切なことではないでしょうか。
日リテでは、「書く」ということを通して学生一人ひとりに文章を書くことについての自分なりの考えをもってもらいたいと思っています。文章を書くことが苦手だという学生が少なくないのですが、そもそも「書く」ということ自体簡単な作業ではありません。私はフリーライターとして文章を書く仕事をしてきましたが、「上手く書けた」と思った文章でも、後から読み返すとここがイマイチだったなと反省することばかりです。学生にも、文章を書いたらしっかり読み返して書き手としての感想や意見をもってほしいなと思います。そこで考えることによって、だんだん自分の言葉に自信がもてるようになります。それくらい大変な作業なので、作文を書くことに対して「文章を書くことが苦手」だなんて意識を持つことは全くありません。授業の中で、学生が文章への苦手意識を捨て、自分で考えた言葉で思いを表現することができるようになってほしいと思っています。
次々に変わっているメディア、情報の扱われ方などを研究している
大学では「当たり前を疑う」ということを知ってほしい。たとえば、ケータイでコミックや小説を読むことはいまや当たり前になっていますが、ただ時代に流されてそうしているのではつまらない。 新しいメディアとして便利だし、おもしろいし、良いこともたくさんありますが、ちょっと踏み止まってみてほしいのです。どのような変化があってこのメディアが生まれたのか、流行っているのか、客観的に理解したうえで本当に必要なものかどうかを判断してほしい。自分の頭で考えて広い視野で物事を見ることが大切ではないでしょうか。
土橋 はるかHARUKA DOBASHI
人文学部 4回生
「日本語リテラシー」では、テーマに沿って作文を書き、先生に添削をしてもらいます。
最初は人に自分の文章を見せることがとても嫌だったけれど、回数を重ねていくうちに自分だけの言葉の表現力を身につけることができました。
ちなみに、日リテは1年生の授業ですが、何人もの学生が「来年も授業を受けたい!」という人気授業なんですよ!
「編集論」は、本にまつわるあれこれが学べます。みなさんは本の裏にある「ISBM」から始まる記号の理由を知っていますか?
意外と知らない本の仕組みについてもたくさん学べますよ♪
森 ひろし
准教授「編集」の仕事から見えてくるもの
土橋 はるか
人文学部 4回生