先生にインタビューで聞く人文学部の学び
池田 浩士 インタビューテーマ 論理で証明できない、人間の表現活動。 客員教授/主な研究領域は、ナチスドイツ、天皇制日本など広義のファシズム社会における表現文化。

池田先生の研究テーマはなんですか?

ドイツ文学から、ナチス時代のヒトラーの文化を含めた、現代文明論です。もともとドイツ文学の研究から出発したんですが、ヒトラーの時代にファシズムを社会体制にしていて同盟を結んだ国が、『ドイツ』『イタリア』『日本』だった。なので、ナチス時代の文化や文学を勉強していくと、日本の文化思想や天皇制などにも研究が広がっていかざるをえなかったんです。だから今は、自分の研究テーマを広い意味で「現代文明論」と考えています。

なるほど。では、現代文明論のおもしろいところはなんですか?

文学・芸術の領域だけに限らず、人間の表現活動にかかわる研究というのは、論理で解明するだけでは片付かないところですね。

ikeda_01 たとえば、一つの文学表現の研究を例にとると、その表現の受け取り方は人によって様々でしょう。つまり、研究者の感性が影響している部分が大きいわけです。だから、客観的な研究が不可能。極端に言うと、「正しい答え」がない。その答えっていうのは、自分が作っていかないといけないんです。客観的な事実の検証というものではないのですから。
しかし、一つの作品だけを見ていてはいけない。たとえば村上春樹

の「1Q84」を読んで、ただ「おもしろい」というだけではダメですよね。なぜ作者がその作品を書いたのか、作者の意図、社会背景まで考察しないと、作品を深く読むことはできない。深く読むというのは、その作者や作品、さらにはその読者などと対話をするということです。それを無視してしまったら、独りよがりでなにも説得力のない答えになってしまう。そのためには、自分が社会の様々な問題に対して、どう思うのかということをきちんと考えないと、自分なりに『答え』を出すことはできませんよね。

ikeda_02『池田浩士コレクション』全10巻が出版されています。こちらは、情報館でも読めますよ。

さらには、研究の主体である私自身が社会に影響を受けた存在です。客観的な研究ができないと言った意味がわかるでしょう? だから、「現代文明論」といっても、そういった自分自身を問うことを含めての研究であるわけで、そのことが僕はおもしろいと思うのです。

様々な問題が絡み合っていて興味深いです。では、最後に京都精華大学のいいところを教えてください。

非常にみんな個性的で、顔が生きているということですかね。僕が言うのもおこがましいんですが、僕よりずっと若い教員の方や職員の方たちも、本当に親身になって学生と向き合っている。この大学の大きくはない規模がすごくプラスに働いていて、人間相互の間がとても近い。そういうところがいいなあと思いますね。

EDITOR

井久保 捺那

井久保 捺那NANA IKUBO

人文学部 2回生

ここには載せきれなかった些細な質問にも、一つ一つ熱心に答えてもらい、とても勉強になりました。楽しかったです!
緊張していたのですが池田さんの笑顔にとても癒されました~。

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池田 浩士

池田 浩士

客員教授
[ 現代文明論・ドイツ文学 ]

論理で証明できない、人間の表現活動。

井久保 捺那

人文学部 2回生