先生にインタビューで聞く人文学部の学び
筒井 洋一 インタビューテーマ グループ作業が嫌いな人、手を挙げて。 教授/国際関係論から始まり、大学教育、NPO研究、メディア論、ファシリテーションが専門。フリーペーパー『SCRAP』34号でフリーペーパーの将来について語っている。

先生の専門は何ですか?

「メディア論」と「大学教育」を今は専門にしています。「大学教育」というとイメージしにくいと思いますが、大学においての人と人のコミュニケーションについて考えることです。たとえば、学生と学生。学生と教員。学生と社会というような。そしてコミュニケーションを教育改善のために役立つように考えるのが、僕の専門としていることなんです。メディア論も似たような感じで、新聞やテレビなんかのマスメディアと個人の間を繋ぐ方法を考えています。

精華ではどんな授業を持っているんですか?

情報ネットワーク論、グループワーク概論、プロジェクト演習とゼミを今は担当しています。例えば「情報ネットワーク論」では、90分ある時間の中で60分間、黒板またはパソコンを使って説明をします。残り30分は、ある一定のテーマに関して受講生の中でグループを作り対話をするんです。
僕は、学びの基本は個人だと思っています。自分と対話をすることはものすごく重要。でも、個人の学習意欲を高めるためには他の人と意見を交換したり、情報を交換することも必要です。今まで自分で考えたものとは違う視点、情報が入ってきて、もう一度自己学習をする。この流れがすごく重要だと思います。

tsutsui_01ゼミでディスカッションをする学生たち

どの業界でもそうだけど、自分だけで一つの完結したものができる人はほとんどいません。ほとんどの人は必ず他者や外部の情報にふれるプロセスを踏んでいるんです。その中で必要となってくるのが、「どんな発想ができるか」ということ。自分との対話や、他の人との意見交換の中で、どれだけおもしろい発想ができるかが重要になるのです。
だから僕はその練習として、授業中にグループディスカッションを取り入れています。もちろん学生の中にはグループ作業が苦手な子もい

ます。だけど、グループワークは社会に出たとき必ず必要となるものです。だから、嫌いだからと逃げないで欲しい。むしろ、嫌いだからこそ大学生の間は積極的に取り組んで、苦手意識を克服して欲しいと思います。硬く構える必要は全然ない。息を抜いて気軽に、楽しく取り組んでくれたら苦手意識は克服できると思います。

tsutsui_02ゼミで用いられてる対話を円滑にする手法の一つ 「ファシリテーショングラフィック」

否定されて傷つくのがいやだったり、意見をうまく伝えられなかったりするので、グループワークが苦手な人は多いと思います。

実際、そういう学生がいますよね。あるインターンシップの説明会に行った学生の話です。何名かは、インターン先の方と最後まで話していたのですが、何人かの学生は経験者の話だけを聞いて帰ってしまったんですね。「どうして個別面談に行かなかったの」と聞くと、「自分の興味あるテーマや団体がなかったから帰りました」って言う。「それじゃあ、あなたが興味あるテーマって何?」と聞くと「いやまだ決まってないんです」と言うわけ。「興味のあることがない」と言う人や、「自分の好きなことがない」と言う人は、実は自分の興味や好きな事の範囲が非常に狭い。そして、興味ある範囲と思っている中にも、「特に好きなことはない」と言う。つまり、自分でつくってしまった「枠」自体にとらわれて、自分が吸収すべき事を吸収しないようにしている。興味がないから関わらないのではなく、興味がなくても興味を持つヒントを見つけることが一番大切です。
と言っても、何にでも興味をもてるわけではないですよね。そこで必要になるのが、「仲間」とか、「きっかけ」なんです。そういうものを、隣の人と対話しながらおもしろい発想とか、仲間を見つけてくれたらしめたものです。あるいは、自分を傷つけられるのが嫌だから他人を傷つけないように相手の中に踏み込まないということもよく言われます。場合によれば、相手に迷惑をかけることもあるかもしれない。だけど、相手に迷惑をかけることよりも、相手に何か貢献できるように心がけることから、人間の対話は始まるのです。

EDITOR

鹿野 由梨奈

鹿野 由梨奈YURINA KANO

人文学部 3回生

私自身、グループ作業が苦手だという意識を持っていたので今回の筒井先生の話はとても参考になりました。
「3歩進んで2歩下がる」なんて歌がありますけど、それで諦めず前にまた3歩進んで2歩下がれるのは陰で応援してくれる友達がいるからなんだと気づくことができました。

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筒井 洋一

筒井 洋一

教授
[ メディア論・情報社会論 ]

グループ作業が嫌いな人、手を挙げて。

鹿野 由梨奈

人文学部 3回生