先生にインタビューで聞く人文学部の学び
三上 賀代 インタビューテーマ ダンスで、気持ちのいい状態を探る 准教授/阿波踊りの地、徳島県生まれ。暗黒舞踏創始者・土方巽、野口体操創始者・野口三千三に師事。「とりふね舞踏舎」を主宰し、国内外で舞踏公演を多数行う。

先生の研究テーマを教えてください。

広くは身体表現ですが、その中でも暗黒舞踏を研究してきました。全身を白く塗り、身体を激しく打ち付けたり、クネクネと動いたりする動作が特徴的だと言われています。
私が大学生だった1970年代初頭には、演劇を中心に「肉体の復権」が叫ばれていました。心理的に、ある人物になりきって表現をするのではなくて、真に自分の身体が求めているような表現をしていこう、ということですね。そんな時代の先端にいたのが、前衛舞踏家である土方巽(ひじかたたつみ)さん。身体表現に興味があった私は、彼に弟子入りをして、暗黒舞踏を始めることになったんです。

mikami_01暗黒舞踏を体験中の学生たち。この経験が、それぞれの研究テーマへとつながるのです。

そんな踊りがあるのですか!?驚きです。三上さんは、具体的にはどのようにして身体表現を研究しているのですか?

一つは「実践」ですね。師である土方さんの言葉は、非常に独特で、本人以外にはわからないようなものでした。そんな彼の舞踏技法・思想とはどのようなものなのかを、私自身が記録した稽古ノートと引き合わせて解読していったんです。そこで得た方法論をもとに、自分でダンスを作り、実際に踊ることによって、肉体が求める表現を追及しています。
もう一つは「教える」ということです。夫と二人で「とりふね舞踏舎」という舞踏団体を作ったのですが、そこに参加している人たちと一緒に踊りを作ったり。大学に来てからは、授業などで、学生たちと「体がい

かに気持ちよく過ごせるか?」ということを考え続けています。

ダンスといえばカッコいい人たちが、とにかく身体を激しく動かしている印象を持っていたのですが、そのイメージが少し崩れてきて、楽しいです。気持ちのよい踊りってどんなものですか?

野口三千三(のぐちみちぞう)という人が「可能性の前提は記録」と言っています。解放されていくことによって、人間が持つ身体の可能性は大きくなっていくんです。「力が抜けて気持ちいい」というのが、基本的な身体の状態なんですよ。
その状態になるために、授業ではマッサージや体操で体の緊張をほどき、楽にしていくということもやっています。人にやってもらわなくても、力を抜いて、ゆるゆるすれば、自分の重さで自然とマッサージされていくんです。
実は、ゼミでは一度だけ実際に舞踏をする時間を設けています。気持ちよさとは何かを考えていく中で、「38億年の歴史」と題し、全身を白く塗って、地球に生物が生まれてから立ち歩き出すまでの38億年を学生たちに表現してもらい、時の流れを体感する内容なんです。

mikami_02こちらは阿波踊りの写真。京都精華大学には、阿波好きが多いです。

私は私になるために、ここまで踊ってきた気がするんです。自分の人生の全てがパフォーマンス。みなさんには、人と自分を比べずに、自分にとって「気持ちの良い感じ」を見つけていってほしいと思いますね。

EDITOR

山口 康介

山口 康介KOSUKE YAMAGUCHI

人文学部 4回生

心ではなく、身体が求める表現。そう聞いて、みなさんはピンと来るでしょうか?
今回の取材中に、三上さんに「ダンスは、外に出て、人と出会わなければいけないような研究テーマ。だから、家にこもりがちだけど、そんな自分を変えるために、ライブなどのパフォーマンスといったテーマを選び、卒業論文を書く学生もいる」という話を聞きました。
「これがやりたい!」というような明確なテーマがなかったとしても、「何をすれば、もっと広い世界をこの目で見ることができるのか?」という視点で、自分の研究テーマや、やりたいことを探してみるのも、きっと1つの「身体が求める表現」。それもアリなんじゃないでしょうか?

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