日本の大衆文化を知る
以前は図書館サービスへのコンピュータ利用でしたが、今は図書館で働いている人の問題に関心があります。図書館で働いているのは女性が多いはずなのに、図書館の会合に行くと、目立つのは背広を着た男性ばかり。これはどういうことなのだろうか、と疑問を持ったんです。
授業風景。読書会形式で、図書を深く読み進めていくのです。
日本では長い間、女性の姿が見えない状況がどの分野においてもあり、さらに図書館に優秀な人材を置いておくのはもったいないと考える傾向さえあります。現在でも、図書館で働いているのは、圧倒的に非正規雇用の女性が多い。これは女性と図書館の社会的地位の問題をはっきりとあらわしていると思います。
政治家や芸術家など、大物の歴史は残っていくけど、普通の女性たちの暮らしはなかなか記録として残っていきません。だから、女性図書館員たちがどのように働いてきたのかを書いてもらい、冊子を作りたいと思いました。女性図書館員の記録です。例を挙げると、国立大学の図書館で働き続け、退職後はボランティアとしてカンボジアで働いた人、敗戦後から日本にある外国機関の図書館で働き、退職後は高齢者の国際交流NPOを立ち上げた人などです。男性の伝記だと仕事中心の内容になりがちですが、女性の場合は、その人の生き様がにじみ出てくるような特徴があります。これらの冊子作りは女性図書
館職研究会というグループでやっています。
第二次世界大戦前まで、多くの国では「女性は結婚退職」という雰囲気や制度さえもありました。図書館も例外ではなくて、女性管理職がなかなか育たないという問題を嘆く文献が残っています。ですが、たとえばアメリカの西部開拓時代、図書館作りとサービスを広げるために馬に乗って、見知らぬ土地に出向いていく女性もいました。西部の図書館に着いたら、そこはきちんと燃えない古いストーブが使われているような所。図書目録用カードやタイプライターを買うのも大変だと手紙に書いて、東部の恩師に送ったという記録も残っています。
図書館って、誰でも知っていると思うでしょ? だけど、きっと知らないことがたくさんありますよ。学生の皆さんには、図書館を使いこなす方法を知ってもらって、よりよい勉強や制作をしていってほしいです。
京都精華大学の学生はものをつくるのはとても上手だけれど、理論は苦手の人が多いですね。実技的なことも役に立つ。けれども、理論や歴史を勉強していく中で、物事の見方・考え方の核となるものを大学時代に掴んでおくことが大事だと思います。それさえ掴んでおけば、後は自分で変化に対応して行くやり方がわかるはずですから。
卒業生からもらったオルゴール。時を経ても、素敵な音楽を演奏してくれています。
山口 康介KOSUKE YAMAGUCHI
人文学部 4回生
田口さんとはじめてお会いしたのは、AO入試のディスカッションのアルバイトをしている時。ゆったりとした語り口で、みんなが喋りやすい雰囲気を作ってくれていたのが記憶に残っています。
私自身と図書館の関わりについて思いをはせると、中学時代に友達の少なかった私は、学校から帰ると一人でよく図書館に出かけました。図書館は、当時の私の居場所だったんです。今回、田口さんが歴史を学ぶことの面白さと重要さについてお話してくれたのを聞いて、大昔から、多くの人々が頑張って図書館作りをしてきたという歴史があり、その延長線上に私の暮らしというものがあるのだなと、しみじみ実感しました。