先生にインタビューで聞く人文学部の学び
澤田 昌人 インタビューテーマ 死者とつながるピグミーの歌 教授/大学院では動物学を専攻。人類学、とくに熱帯雨林における狩猟採集民の世界観、中部アフリカの現代史を研究している。

先生の専門分野を教えてください。

アフリカの中心部にあるジャングルで生活している「ピグミー」という民族を調べています。成人男性の身長が150cm未満という、とても小さな人たちなんです。彼らピグミーの死生観が私の研究テーマです。
ピグミーとの出会いは僕の大学院生時代にまでさかのぼります。人類学を学ぶため大学院に入ったのですが、その研究室がアフリカの人類学を中心に研究していたんです。それで、僕もアフリカに行ったわけ。ピグミーと出会って驚かされましたよ、彼らの歌に。彼らの歌は合唱形式なんだけど、すごいんです。合唱技術がすばらしい。

sawada01.jpg作りたての葉っぱの家の中に座っているところ。こういう家を作ってもらって住んでいたそうです。

たとえば、20人いたら20のパートが重なりあって1つの歌になるんです。短いフレーズを1つの歌に何十も編み込むことで、聴き応えのある大合唱になるんです。歌詞もなく声音オンリーだけど、村人が集団となってものすごく一生懸命にその歌を延々と歌うから、気がついたら歌の洪水に飲み込まれて、感動の渦の中にいる。すっかり彼らの歌に惚れこんでしまったのが、ピグミーを研究するきっかけです。

なんかロマンティックな出会いですね。死生観に興味を持ったのはいつからですか?

死生観に興味を持ったのは、彼らの歌が完成する経緯を聞いたとき。僕は初め、彼らの歌がどれほどすばらしいか、周りに説明しようとしていた。楽しんでいるんだけど、ただの娯楽と言うには彼らの歌に対する姿勢は真剣そのもので、凄みさえ感じた。これを説明したかったんだけど、彼らの歌に対する懸命さの理由を十分に理解していないから、うまく説明ができなかったんです。だけど、ひょんなことから

彼らの歌は昔から続いてきたものじゃなくて、最近になって始まったものだと知ったんです。どういうふうに曲ができるのかを聞いたら、「夢の中に出てくる死者が歌を歌ってくれる」って答えが返ってきたんですよ。死者というのは、亡くなったピグミーの人たちなんですけどね。亡くなった家族や友人が出てきて、夢の中で歌を歌うんだと言う。目が覚めて、彼らは歌を忘れないようにみんなで歌いあって、その歌を伝えているんですよ。その結果、1つの曲として完成するわけです。

彼らの合唱は、死者の歌だったんですね。

そう。この話を聞いて僕は、彼らが歌に対して一生懸命な理由がわかった。彼らの歌に、命の繋がりがあるからなんです。それから彼らの死生観を解明するために聞き取り調査を始めました。そしたら、亡くなった人は森の奥で、生きていた時と変わりない生活を送っているという話が出てきた。つまり、死んだ後、森の奥に行って楽しく歌い踊って暮らしているイメージ。この話を聞いて、日本の霊山って考えが頭に浮かんでね。人間が持つ、世界に共通した死生観を感じましたね。僕が調査から導き出した考えでは、ピグミーの死生観には先祖から子孫に生活環境を受け継がせる効果があるということ。ご先祖様と同じ行いをしていれば、自分も死んだ後ご先祖様と一緒に暮らせるよと教えているんです。

sawada02.jpg先生が調査地へ向かう途中に撮影したもの。前方の山々を越えて行くと、目的地であるアフリカの熱帯森林が広がっています。

なるほど。精華ではピグミーの授業をしているんですか?

いまはピグミーに関する授業は持っていないですね。でも、ほかの先生の授業で頼まれて、ピグミーの音楽を聴かせたりしているよ。おもしろそうって思ったら、一度研究室にきてください。

EDITOR

鹿野 由梨奈

鹿野 由梨奈YURINA KANO

人文学部 2回生

先生の研究室にお邪魔したとき、ピグミーの歌を聴かせてもらいました。皆さんもぜひ、一度聴いてみてください。
ワールドミュージックの分野でピグミーはとても有名らしく、ピグミーさんたちの歌が収録されたCDもたくさん売られているそうです。圧倒、圧倒、もうすげー!こんな感じになりました。

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