日本の大衆文化を知る
ポピュラーミュージックとは、特に20世紀以降に発展した様々な音楽スタイルの総称です。私が行っているのはそれらの社会学的な研究ですね。そもそも音楽には3つの領域があって、クラシックや前衛的なものに代表される「芸術音楽」、民謡や盆踊りなどの「民俗音楽」、そして商品として大量生産される「ポピュラー音楽」があります。もっとも現代では芸術音楽や民族音楽もCDやDVDとして流通しているので、ポピュラー音楽という領域は拡大しているとも言えます。私は、フランスの社会学者であるピエール・ブルデューの"場の理論"を応用して、音楽生産の産業化とか、ユーザーの音楽的嗜好の分布...たとえばどんなリスナーがどんなジャンルに帰属感を持つか、などに注目しています。むずかしいですか・・・(笑)? たとえばAKB48みたいな大量生産で商業的な現代ポピュラーミュージックが、ある種の人々の心をつかむのはなぜか?とか。そんなことにも興味がありますね。
さっき言ったような「芸術音楽」の場合、作者はたった一人だけで、その人物が神様!みたいな感じがあるじゃないですか。楽曲も難解で、その意味とか価値は、聴き手よりも作り手、つまり神様が決めて押し付けるような。それに比べて「ポピュラー音楽」って、みんなで作っている共同作業的な音楽だと思うんです。ロックと
かは例外的で、ミュージシャンがすごく偉そうにしてますけど、それにしてもプロデューサーとかレコード会社のプロモーターとかイベントのオーガナイザーとかマスメディア関係者とか、さらにはリスナーの嗜好とか、数多くの人間が関わることではじめてそのスター性というのは成り立っているわけで、ミュージシャンだけが、音楽の形を決める時代じゃなくなった。そう考えると、社会に存在させられているのに、自分本位な制作や作品を作ってもダメなわけで・・・ 。学生たちには、自分本位な自分を一歩引いて見つめる感性を身につけてほしいですね。もっと社会と自分に敏感にならなくては。あと、ポピュラー=民衆ですから、民衆と社会がついてくるような楽しいものを作らなくちゃ。
ずっとフランスにいたので、日本の若い子たちからしたらマイナーすぎる曲ばかりかと思いますが‥。先日、仲間内のポピュラーミュージック研究者で、去年一番おもしろかった3曲を持ち寄る「三曲会」っていうのに呼ばれて。私はエジンバラのグリッチ(電子回路中に現れる、接触不良などに伴う雑音のこと)バンドとか、ノルウェーのトランペッターとか、初音ミクや巡音ルカが参加する「Vofume」という架空のアイドルチームのワンルームディスコとか(笑)。まあ、変わった曲ばっかり推薦しました。そして、全員に苦笑いされました...。2010年こそはもう少しメジャーな音楽に詳しくならなくては、と思っています。
研究室にて。後ろの絵は先生のお子さんが描いてくれたものなのだそう。
周防 苑子SONOKO SUOU
人文学部 3回生
現代のポピュラーミュージックを、社会学的にとらえる…むずかしそうですが、実はとっても身近で興味深い学問なのだと教えていただけました。
先生の好きな音楽も、本当におもしろい曲ばかりで視野が広がります。気になる方はぜひ先生のブログをチェックしたり、研究室へ遊びに行ってみてください。
先生のWebサイト http://www.djmagimix.org/