「京都精華大学は
 アートにとっての遊び場です。」

Alexander Draude | Germany
Illustrator
CAPCOM CO., LTD.
School of MANGA
2015 Graduate

1. 京都精華大学入学を選んだ理由は?

私は小さい頃からずっと違う国に行きたいと思っていて、10代の時にはアメリカへ交換留学に行きました。その後、ドイツのカッセル芸術大学に通う中で、また新しい体験を求めて、これまで訪れたことのない国に行きたいと強く思うようになりました。仲のいい友達に相談し、2人とも同じ意見だったのは、コミュニケーションが簡単な、英語を話す国には行きたくないということ。ドイツとはまったく異なる文化を持つ遠い国でチャレンジしてみたかったんです。そんな時、偶然にも担当教授が、日本で京都精華大学との交換留学プログラムを決めて帰ってきました。そこで、先生に日本への留学について聞いてみると、先生は私たちが興味があるなら、留学の手続きをしてもいいと言ってくれたんです。私たちは準備をして、交換留学に行くことになりました。私が京都精華大学を選んだわけではありません。ただたどり着いて、この場所がとても好きになった。だから、カッセル芸術大学を卒業後、文科省国費研究生としてまた京都精華大学に戻ってきました。

2. 京都精華大学で学んだこと。

精華大ではストーリーテリングについて学びました。来てすぐは日本語があまり話せなかったので、一人で勉強をしていました。ストーリーテリングの他にも, 日本文化、日本語、そして日本の神話について学びました。ドイツの文化とは大きく異なる部分が多く、とても興味深かったです。精華大で学んだことを、明確に表現するのはとても難しいです。なぜなら、精華大の環境そのものが、自由な学びを実現してくれたと感じるからです。日本の芸術系大学はルールに縛られていて厳しい、それは同時に自分が日本に対して持っていた先入観でもありました。しかし、京都精華大学はまったく違い、一人一人のやりたいことができる。しかし、自由の中で難しいのは、自分が本当にやりたいことを見つけること。京都精華大学はアートにとっての遊び場です。

3. 精華の魅力ってなんですか?

特に好きだったのは、山に近いところです。平坦な街から急に山になる。ドイツでは、町がだんだんと草原になって、そしてゆっくり森になります。しかし、日本では道があって、すぐに巨大な森。切り立った山と、自分たちが住んでいる平坦な場所にある明確な境界に、日本の神話の存在を感じました。自然は秘密の場所で、恐怖すら感じさせます。それを感じた時、宮崎駿作品が何を表現しているのかがわかりました。ドイツに住んでいた時、もののけ姫は私にとって異文化でしたが、日本に来てからそうではなくなりました。この日本の自然観とジブリ作品のつながりは、とても神秘的です。

授業はいい意味でドイツとまったく違いました。例えば、マンガのことをあまり知らない人でも理解できるようなわかりやすい授業で、大友克洋意外知らないような自分でもマンガのことを深く理解することができました。先生もとても優しく、自分が作ったストーリーを見せると、いつも「面白いね、どんな画が作れるか考えてみよう。」と言ってくれました。

4. 日本での生活はどうですか?

個人的に好きなのは、日本での生活におけ るチャレンジです。ドイツで育った自分は、ドイツの文化についてはすべて知っています。その中で生きることはとても楽ですが、それ無しには生きられなくなって、外に出られなくなります。私は異なる言葉や人を理解するチャレンジをすることが大切だと考えています。例えばコミュニケーションでは、日本人はとても繊細でヨーロッパの人はとても強い。ヨーロッパの文化ではお互いに批評をし合うので、意見の不一致に慣れています。しかし、日本のコミュニケーションは調和を求めるので、あまり物を強く言ってはいけません。だから、問題に触れないように、同意することを意識して話をします。初めはわからずに、強く言いすぎて答えが返ってこないこともよくあります。しかし、少し時間が経てば、とてもフレンドリーに話しかけてくることに驚くこともある。
実際に体験して、学ばないとわかりませんね。コミュニケーションを除けば、日本に住むのはとても快適です。安全で清潔。いろいろな国の違いも受け入れてくれます。

5. 日本で働いてみた印象は?

日本で仕事をすることに対して、多くの人が悪い先入観を持っていると思います。辞めるまでずっと長時間働かされる。しかし、ずっとフリーランスとして働いてきた身としては、むしろ楽しい。どんな仕事をするかは問題ではなく、何をするにも仕事は大変なものです。自分の会社には意地悪な上司もいないし、みんなとてもフレンドリーです。ヨーロッパの会社では、アイディアを批評しなければ、仕事についてあまり考えていないと思われます。どれだけその仕事への意欲を持って関わりたいかを見ているからです。日本ではもっと受け身です。それは多くの人が思っているように悪いものではありません。今は、キャラクターデザイナーとして働いていますが、一人で仕事に集中できる環境に満足しています。

6. これからやりたいこと。

正直に言うと、今は自分が長いあいだ夢に見てきた生活ができています。20歳の頃から、この仕事をしたいと思ってきました。だからゲーム会社で働きたいと決めた時から12年、やっとたどり着いたんです。私のように計画的じゃない人間には、目標にたどり着いた後のことはわかりません。私は今の仕事ができることがとても幸せで、少なくとも数年はこの仕事を続けていきたいです。

7. これから受験する留学生に一言メッセージ。

もし数年間、あなたが日本に来ることができるとしたら、それまでの自分の生活とはまったく違うものになるはずです。それは素晴らしい経験で、あなたの視野を広げてくれるでしょう。日本での生活は、人の奥深くまで影響を与えます。もし、あなたが画家で日本語を勉強をすれば、絵画へのアプローチやテクニックは大きく変わりします。もしチャンスがあるなら、尻込みしないでください。私が高校を卒業した時「もしも許されるなら、遠くにいきなさい。できるかぎり遠くへ。」と先生が言っていたのを覚えています。私は自分の会社をおこす勇気はありませんが、日本に来る勇気はありました。もっと沢山の人が自分の国を離れて、まったく違う世界に行くべきだと思います。