いとうせいこう氏とウスビ・サコ学長の対談講演会、岡本清一記念講座「けれど、人間には仲間がいる。」が開催されました

2020 年 2 月 8 日

2020年2月1日(土)に作家・クリエーターとして活躍されるいとうせいこう氏をゲストに迎え、本学学長ウスビ・サコによる、岡本清一記念講座「けれど、人間には仲間がいる。」が開催されました。

岡本清一記念講座は、京都精華大学の初代学長である岡本清一の掲げた建学の理念を受け継ぎ、広く普及するために開設した講座。教育理念「新しい人類史の展開に対して責任を負い、日本と世界に尽くそうとする人間の形成」を検証し、力強く継承することを目的として開催しています。

今回は、世界中の難民キャンプや自然災害の被災地で「国境なき医師団」の取材を重ねるいとうせいこう氏と、本学の国際化と研究活動のため年間10ヶ国以上を訪れるウスビ・サコ学長が、現代のシビアな世界における「自由」そして「表現」の可能性について語りました。

当日はさまざまな年代の方に来場いただき、アゴラホールはほぼ満席となりました。いとう氏が「国境なき医師団」を追って目の当たりにした難民キャンプの現状や被災地の話になると、うなずきながら真剣に耳を傾けメモを取られる方も多くおられました。

後半では今回のテーマの「自由」そして「表現」の可能性について話が進み、サコ学長が、若い世代がいま「個」を見せにくい現状にあることに対してどうしていくべきか問うと、いとう氏は「『個』とはみんな違ってあたりまえで違いを認め合うことが前提。違う意見や行動に対してもっと大人が褒めるべき。自信がないことで自分にも他者にも評価が低いと思う。褒めあうことで好循環が起きるので、5年後10年後にはポジティブな言葉が行きかう社会を目指すべき」と語られました。
サコ学長からは「今までのやり方を変えることに抵抗があるせいか、こだわりが強くなっているのではないか。もっと自分を解放してほしい」と語ると、いとう氏は「大学とはそこを直せる自由区だと思う」と話されました。

また、サコ学長から若い世代の教育について「今は18歳で投票権があるのでそれまでに市民としての価値観を持つべきだ。これからは18歳までに市民教育が必要なのではないか。『個』を制御してコントロールするだけの教育なら必要ない。でも市民社会の一員である意識があれば人のために尽くすという意義が見えてくるのでは。『国境なき医師団』の活動などを含め、人のために尽くすことができるようになるにはどんな教育をすればよいのか」といとう氏に問うと、「市民はときに不服従。それは、自分に社会をつくる責任感があるからこそ不服従のときがある。今の教育では不服従を教えない現状。「個」を排除して同じ方向だけを向く教育では市民は生まれない。市民が生まれない社会は社会でもない、ただの群れだと思う。
ならばせめて大学では意識を持ってほしい。大学は多種多様な「個」が集まる場所、まさに社会だと思う。仲間とは同じ考え方の人ではなく、違う人がいてこそ面白い。考えが違うからと言って軽蔑するのではなく、お互いの違う考え方を認めあうこと。それが市民であり、だから投票制度がある。不服従はわがままだと誤解されやすいが、実はだれかのためでもあり仲間意識である。批判は仲間意識だとも言える。だから『人間には仲間がいる』ほうがいい。だね」と今回のタイトルを交えて言及されました。

最後に、いとう氏より「大学とはひとりひとりが違うものを探しに来るところ。同じ趣味のおもしろい仲間に会うだろうし自分と同じような考えの仲間にも会うだろう。でもその仲間が持っている自分と違う情報を吸い取って自分の成長に変えてほしい」と話してくださいました。サコ学長からは「人のことを考えるということは自分のことを考えるということ、将来や自分に向き合いたくなくて逃げ出したいときがあっても、たくさんの人に会っていろんなところに行ってボランティアなどで人のために尽くすことで、自分と向き合って自分の価値に気が付いて欲しい」と若い世代にメッセージを送りました。

岡本清一記念講座「日本と世界を考える」過去の講座一覧
https://www.kyoto-seika.ac.jp/about/okamoto-memorial-seminars/

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