第4回「ポピュラーカルチャー研究会」開催
その声は誰の声?
─〈声〉の現在とポピュラーカルチャー

3月14日(金)、京都国際マンガミュージアムにおいて、2007年度最後となる第4回ポピュラーカルチャー研究会を開催しました。
「その声は誰の声―〈声〉の現在とポピュラーカルチャー」をメイン・テーマに増田聡氏(大阪市立大学大学院文学研究科)、小松正史氏(京都精華大学人文学部社会メディア学科)、今井隆介氏(京都造形芸術大学)の3名が発表。

会場風景

増田氏は「声とは何か:ポピュラーカルチャーにおけるその諸機能」と題して、今日における〈声〉のさまざまな側面について問題を提起。声=身体=人格という比喩的な連関は、メディアを横断する言語活動全体をつらぬくコミュニケーションの起源として実体化される一方で、メディア変遷が文化にもたらす影響をマクルーハンやデリダを例にひきながら紹介、かつて特定の身体に帰属していた声の超分節的な側面がテクノロジーによって人格と無関係なものとして切り離され、別なものとの新たな組み合わせによって社会に拡散していく現実を示しながら、小松氏、今井氏の発表にジョイント。

小松氏は「主体なき声の諸相:公共空間の声の現状」をテーマに、京都の(1)公共交通機関(市営地下鉄車内とJR京都駅構内)、(2)公道(大通交差点界隈と古紙回収車)、(3)観光施設(京都タワー展望エレベーター)、(4)大型量販店(ビックカメラ)、(5)地元密着型商店街(錦市場)、(6)室内音響装置(各種音響機器)など、フィールドワークで渉猟した、身近にあるさまざまな音声空間の実態を紹介。サウンドデザインとサウンドスケープの重要性を説くとともに、意味なき音の響き(主体なき声)に警鐘を鳴らしました。

また、今井氏は、「声と主体性:アニメーションにおける声の機能」という視点からアニメーションに魂を吹き込むもっとも簡便な方法として導入された〈声〉によって「生命・のようなもの」「人格・のようなもの」(キャラ)を吹き込むことができると前置きし、アニメーションにおけるさまざまな〈声〉の効用――静止画像に〈声〉を付加することによってアニメを成立させるボイスオーバーやキャラクターの絵柄が変わっても〈声〉によってキャラクターの連続性を維持するなど――を具体的に示しながら、キャラクターという記号的身体の創造にいそしんできたアニメーションにおいて、〈声〉は生身の肉体の痕跡としてあると結論。〈声〉という大きな枠組みから公共空間における音〈声〉、さらにアニメーションにおける〈声〉を通して、現代における〈声〉の身体性と非身体性、人格性と非人格性、あるいはそれらの捉え方に論及した興味深い内容でした。

当日は毎日新聞、京都新聞、産経新聞による事前の広報もあって、研究会場にはマスコミを含む約40名の聴講者が参集。他大学の研究者・学生の姿も多く見られ、今回のテーマはもとよりポピュラーカルチャー研究総体への関心の高さがうかがわれました。

研究会構成員

2008/03/18



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