第4回 ポピュラーカルチャー研究会
その声は誰の声? ─〈声〉の現在とポピュラーカルチャー
日 時
:2008年3月14日(金) 13:00〜15:30
会 場
京都国際マンガミュージアム 多目的映像ホール
主 催 : 京都精華大学表現研究機構
共 催 : 京都国際マンガミュージアム
一般参加自由 聴講無料・申込不要 どなたでもお気軽にご参加下さい!
※但、マンガミュージアム閲覧には入場料が必要です。

■座 長/ 山折哲雄 (宗教学者)
■発表者/ 増田聡  (大阪市立大学大学院文学研究科専任講師)
小松正史 (京都精華大学人文学部社会メディア学科准教授)
今井隆介 (京都造形芸術大学・花園大学非常勤講師)
■ポピュラーカルチャー研究会 研究員の紹介

1.声とは何か:ポピュラーカルチャーにおけるその諸機能(増田聡)
 声をきくとき、われわれはその背後に具体的な身体の存在を想起する。高い声、やわらかな声、張りつめた声―個々の声はまた、身体を伴った特定の人格的主体の記号でもある。さらには「民衆の声」といったような言い回しが示すように、声の概念は政治的な含意もまた帯びることになろう。仏語voix(声)が「投票権」を意味するように。しかし、声という音響現象が持つこのような独特の存在論的なステイタスは、こんにちのメディア環境や文化実践の諸相の中で、密やかな変容に直面しているようにも思える。レコードやラジオにより複製される声、音声合成により生成される「主体なき声」の氾濫―。本報告では、〈声〉と文化理論が交わる諸側面を概観し、ポピュラーカルチャーの中の〈声〉を考えるための論点整理を行う。

2.主体なき声の諸相:公共空間の声の現状(小松正史)
 巷の道路や交通施設、公共空間に溢れかえる声。それらは、音の発信者の顔が見えない音響メディア(いわゆるスピーカー)から発信され、我々の耳に届く。声に含まれる内容は、為政者が意図する誘導情報もあれば、広告、場の演出の類もある。こうした現象は「音分裂症」と呼ばれ、無秩序・未整理な音環境の発信・受容構造が展開されている。誰が出したのか解らない声が、発声場所とは異なる空間で流され、無意識のうちに受容される。ときに、声の情報を表象・変換した音信号(sound signal)によって、我々の行動は誘導される。近年増殖しまくる「音響メディアからの声」が、我々の耳にどのように回収され、まちの響きを作り上けているのか。京都を中心にフィールドワークを行い、その現状を紹介してみたい。

3.声と主体性:アニメーションにおける声の機能(今井隆介)
 アニメーションに登場するキャラクターたちの身体は模造されたものであり、その点で空疎な人形と大差ない。しかし「声」を発することによって、彼らはにわかに犯しがたい主体性をもった存在として認識される。声はしばしば「魂」と同義となるのである。無声時代には漫画と同様に文字が声の代理を果たしていたが、トーキー時代に入るとアニメのキャラクターたちは実在する人物の声を宿すようになり、声による演技とその実在性が彼らの「人格」を補強するようになった。デジタル時代に入り、CGで構成された「写真のようにリアルな」キャラクターが登場するようになっても、その内面は実在の人物が提供する声によって充填されている。デジタル技術によってあらゆる声の演技が創造可能となり、声の主を必要としなくなる前に、実在する身体が発する声とその器となる模造された身体との関係を再考したい。


本研究プロジェクトは、現代の思潮であるポピュラーカルチャーに通底する社会的背景を探究することをめざします。
お問い合わせ  E-mail : hyogen@kyoto-seika.ac.jp

2007/11/01



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