表現研究機構は2001年度、文部科学省「私立大学学術研究高度化推進事業」(オープン・リサーチ・センター)として誕生しました。
 新たな表現資源の創造と学術的価値の再構成、そして新しい表現者の育成を目指して研究活動を推進することを目的に、〈文字文明研究所〉〈マンガ文化研究所〉〈映像メディア研究所〉の3つの研究プロジェクトを軸に研究活動を推進。文字文明研究所は文明文化の根底にある文字・言葉について連続講座や雑誌『文字』を通して探究、マンガ文化研究所は日本マンガ学会の設立を支援するとともに、マンガと教育、著作権問題などの社会的テーマを掘り下げるなかで、マンガの学術的研究の可能性を探究、映像メディア研究所はネットワークアートやライブパフォーマンスを通じて、ブロードバンド時代における映像の可能性を探究。各研究プロジェクトがそれぞれの分野・テーマに立脚して、現代における「表現」を探究し、その研究成果を広く公開してきました。
 

 2004年春には、その研究活動のあり方を第三者に評価いただくため、学外有識者3名、学内専任教員2名による研究評価委員会を開催。各研究プロジェクトの課題や活動目標の明確化を指摘されながらも、総合的に高い評価を得ました。
 また2005年には、3研究プロジェクトを擁する表現研究機構の活動総括として、3研究所合同のシンポジウム「表現はいま―文字・マンガ・映像」を開催。基調講演に山折哲雄氏を迎え、3研究プロジェクトの所長を交えてのパネルディスカッションも行って、表現研究機構の進むべき方向性が示唆されました。

 
これらの活動に対して、平成15年度に実施された文部科学省の「私立大学学術研究高度化推進事業に係る研究進捗状況評価」の総合評価および平成17年度実施「同研究成果審査」の総合所見において、いずれも[A][A]の高い評価を得ることができました。
 2006年5月、文部科学省に300頁に及ぶ『研究成果報告書』を提出し、第1期の研究活動を終了するとともに、第2期研究活動に向けて研究基盤を形成しております。
 
 表現研究機構は〈文字〉〈マンガ〉〈映像〉の3研究プロジェクトが独自のあゆみを遂げてきましたが、「表現」を取り巻く環境はすさまじい勢いで変化を遂げ続けています。〈文字〉〈マンガ〉〈映像〉という異なる3つの分野からそれぞれの方法で、「表現」にアプローチし、探究を試みた5年間でしたが、社会的趨勢を考慮すると、それぞれが独立して探究し解析できる領域が限られてきている感は否めません。
 コンピュータの普及やそれにともなうメディアの多様性によって、いわゆる「複合的表現」の領域が拡大・増大しており、さまざまな形態(ジャンル)の表現が混在し、相乗的・相補的関係のなかで、現代の表現が成立していることに気づかされます。
 そうした状況の下で、表現研究機構も新たな研究テーマと新たな研究方針を掲げて、再出発することの重要性を認識するに至りました。
 その結果、私ども表現研究機構は、人間同士のコミュニケーションを媒介する表現において、文字・マンガ・映像が果たしうる役割とその課題を探究することを基調にするとともに、それらの複合的表現の生成や享受に対する問題意識をいっそう明確にする形で、今後の研究活動方針を立てることといたしました。


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