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京都精華大学表現研究機構代表
中 尾ハジメ
2001年度に文部科学省の私立大学学術研究高度化推進事業によって「オープン・リサーチ・センター」に選定された京都精華大学表現研究機構は、現代文明・文化の解明に不可欠な「文字文明」「マンガ文化」「映像メディア」の3領域を基軸とし、その多面的な学術的価値を再構成・融合し、“新しい表現資源”創造への道を切り拓くべく活動を続けてまいりました。
その目的は、これらの表現研究領域の多様な研究成果を広く一般社会に公開するとともに、若手研究者、専門職業人、新進作家などの“新しい表現者”の育成と生涯教育という、時代や社会からの要請である“新たな表現能力”の開発にありました。
開設から5年が経過し、第1期の活動を終了するにあたり、表現研究機構を構成する〈文字文明研究所〉〈マンガ文化研究所〉〈映像メディア研究所〉の活動を検証・総括して今後の活動のテーマを掘り起こし、新たな基盤づくりに向けた営みがますます重要であると感じております。
活動詳細は各研究室の報告をご高覧いただきたく存じますが、5カ年間の活動概要としては、下記のように総括できようかと思います。
文字文明研究所は、グローバル化の進む中で東アジアの文字文明を研究のメインテーマとし、開所以来毎月、京都・叡山閣で連続講座を開講、2003年秋からは東京・印刷博物館でも開講ししてまいりました。毎夏には銷夏講座および書展を開催し、2003年からは明治の政治家・副島種臣展を3回連続して開催し好評を博しています。また、連続講座をテーマ別に編纂した雑誌『文字』も10冊を刊行、全国書店で販売を展開して、研究成果の還元を図ってまいりました。
マンガ文化研究所は、マンガが“MANGA”として海外でも高く評価されるなど、マンガを取り巻く環境が大きく変化するなかで、日本マンガ学会を設立し、マンガの教育・学術的研究の可能性を探究するとともに、著作権問題など社会的なテーマを掘り下げる一方、マンガによる人材育成、国際交流、さらにはマンガを介して産官学の連携を図るなど、新たな可能性を模索してまいりました。また、京都市との共同事業である「京都国際マンガミュージアム」の2006年秋の開館に向けて着々と準備を進めております。同ミュージアムのエポックメイキングな役割は、今後のマンガ研究・啓蒙・普及に資するところは計り知れません。
映像メディア研究所は、ブロードバンド時代における映像のデジタル化とネットワーク社会をキーワードに、多様化するメディアの可能性、とりわけ映像技術と新たなアート表現の実践的研究を目的に研究活動を行ってきました。海外との映像ライブ・パフォーマンスをはじめ、コミュニケーション・メディアをリンクさせた新しいネットワーク社会を構築するとともに、メディアアートにとどまらず、ヒューマン・テクノロジーを駆使して、さまざまな分野におけるメディアの多様な可能性を追究しています。
表現研究機構ではこれらの活動実績をふまえ、さらに研究内容を深化させ汎化させるために、2005年度に開催しました3研究所合同シンポジウムを足がかりとして、新たな研究活動に踏みだし、新しい表現資源の創造と表現者の育成をはかるべく、“表現―Human
Contactの限りない探究”に邁進し、現代社会においてより有意義な研究成果を還元することをめざす所存です。
平成18年5月
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