学生とのメールのやりとり

森尾 一夫さんより(再質問その1)6月29日着信

 原発を計画的に止めるのなら問題ないということですが,ではなぜ極めて危険な原発をいまだに利用し,さらには建てかえまで実施されようとしてるのですか?

 それには原発の利権が関係あるのですか?

 関係があるならば,原発の利権はその他の発電所より大きいものですか?

【細川おへんじ】

 森尾さん,拝復,細川です。再質問,おおいに歓迎です。

■3つ理由があると思われます。

  1. 最大の理由はなんといっても利権の大きさ。原子炉ひとつで6千億円規模の受注です。関連設備やインフラ工事などもあわせると1兆円を超えるお金が動きます(メーカーや建設会社にとって収入となります)。これは,火発やウィンドファームとは比べ物にならない「おいしさ」でしょう。だからこそ,メーカー・商社・ゼネコン・銀行がチームを組んで談合をしてきました。だいたい,これまでは,<東芝・日立・丸紅・三井物産・清水建設・鹿島建設・三井銀行・みずほ銀行(その他,系列企業多数)>のチームで毎年,原子炉ひとつ,<三菱・大林組・東京三菱銀行(その他,系列企業多数)>のチームで同じく毎年ひとつ。あわせて,毎年2基ずつの原子炉が新設ないし増設されてきました。今後もず〜っとこの談合による利権をキープしたい,という産業界・金融界の要請が隠然とあるのでしょう。
  2. 次に,核兵器開発という将来の選択肢を捨てたくないという日本政府(とくに外務省)の思惑があります。核兵器開発にとって原子炉は不可欠の設備ですから,原発をやめるということは,将来の核兵器開発を放棄する,という意味になります。日本政府は今すぐに核兵器を持とうとは考えていないようですが,将来のオプション(選択肢)を自ら放棄したくはないと考えていることも明らかで,したがって脱原発という選択はとらない(とれない)ということです。「核廃絶はわが国の悲願」というのは嘘みたいですね。もちろん,国際的にみれば原発と核兵器との密接な関係は常識で,したがって,原発に固執しつつ「核廃絶」を呼びかける日本政府の態度が,まったく諸外国から相手にされてこなかったのも仕方ありません。あぁ恥ずかしい。
  3. 三番目に,もしかするとこれが一番やっかいな理由かもしれませんが,日本の中央省庁の官僚制では,一度決めた政策はよほどのことが無いかぎり変更しないで「推進」しつづける(変更すると失政をしたということで誰かが責任をとらなくてはならなくなるから)という強い傾向があります。技術的・経済的には,もう原発は「わりに合わない」ことは常識となりつつあるにもかかわらず,「国策」としての原子力開発推進の旗がふられつづけるのは,この官僚主義的硬直が大きな原因なのです。
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