16mm color 55分、2000年
「べべ」以降の針畑の村の変容を見つめながら10年が経過する。
親しくしていたお年寄りたちが村を離れて行く。
過疎化が進むなかで、観光事業や幹線道路の拡幅、また、村を周回する山道には、
別荘がたち、分譲地の幟が風にゆれる時代となった。1991年から再びカメラは動きだした。
かつて、トチの実を深山から運び出し、マチヘ売り出す運搬用の麻製の袋を
「八尺袋」という。各家には、柿澁や藍で染められた袋が大切に残されている。
八尺の布を90度ねじり縫いつけていくところからネジリ袋とも呼ばれ、
魅力的なデザインとなっている。この構造は、精米時のガッタリ袋や時米袋にも共通している。
実を入れると円筒形になり、山道ではオイナワを使って縦に負い、マチヘの運搬にはひと袋を
横に、ひと袋をさらに縦に重ねて運んだ。
木綿が普及するまで、麻が主な衣類として自家製で作られていた。
麻布のことを「のの」と呼ぶ。雪が解け春になると、麻は1軒に4〜5畝ほど栽培され、
織りにいたるまで、村の女たちの仕事である。
針畑で生まれ、93才で他界した1人の女性「ハル」さんの映像記録から
映画は始まった。彼女は、亡くなる数カ月前まで、天候のこと、畑のこと、家族のこと、
村のことなど、家計簿に1日1行の日記を残していた。昭和61年から平成5年までの日記が
見つかる。その日記には、私たちがムラの暮らしの記録をすすめたちょうどその時期に、
1日1日の暮らしぶりが、四季の移り変わりとともに記されていた。
映画は、麻製の衣類や八尺袋ができる1年の仕事の流れと、山村で生涯を終えた女性の
日記を織り込み、針畑のあたたかな人と動物と草木の交流を描く。この記録が地域に
根づいた生活文化財の再評価と現代の自然環境と遊離した都市環境のおかれている
状況をみつめなおす手がかりになることを願う。1991年から1999年までの記録。
●「ハルとのの」制作スタッフ●
協力
西川ハル 西川定市 西川シナ 岡本小平 岡本ハル
今井イト 堅田晴子 坂本静江 田中マス 中川春吉
中川みよ 中根はま 岡本コウ 岡本芳雄 西澤チヨ
森本ちよ 森本寅男 山田ナツ 家本浅三 佐々江庄太郎
新田傳兵 山本長継 針畑のみなさん 朽木村のみなさん
資料提供
西川定市 中根はま 河原てつ枝 河原弥太郎 朽木村郷土資料館
朗読
中川みよ
構成
早野潤子 山本美知
編集
伊藤春来 今川ゆかり 藤原奈緒 星川茜 山本旨充
調査
井口 康 犬飼りき 岩橋雅美 宇井博正 大槻恵司
倉岡真樹 高橋芽久美 中山佳子 西澤真紀 西村弥音子
橋本佳奈 堀田美保 松本明美 丸谷一耕 宮崎恭子
山口博光 遊川友美子
音楽
江口 豪 福村かおり
音楽構成
浜口 桂
録音
浜口十四郎 サウンド・ステーション・イノベ
ネガ編集
山田編集室 山田 弘 森脇住枝
監督
丸谷 彰
現像
IMAGICA
制作
針畑生活資料研究会
●「ハルとのの」をみる会ネットワーク賛同人 大募集!●
ご賛同いただける方は申込書をお送りします。
くわしくは針畑生活資料研究会までご連絡ください。
賛同人:(敬称略 五十音順)
足立修行 安東尚美 井出良一 犬飼りき 井上有一 岩橋雅美
大島新一 大森康宏 岡田真理 岡本 章 織田いさほ 織田和夫
面矢慎介 加賀千珠子 嘉田由紀子 亀村俊二 木村雅彦
朽木村教育委員会 久保田堅市 久保田睦子 桑名平治 小林陸一郎
小松明美 斎藤忠男 斎藤 博 佐藤敬二 菅井寿世 高橋麻希
田靡純子 田村悦一 槌田 劭 堤 邦彦 鶴見俊輔
ドキュメンタリー・フィルム・ライブラリー 中山恒子 中山行穂 中山佳子
難波直彦 西川定市 橋本恭子 花部英雄 春田ゆかり 早野 明
平田哲生 又川秀喜 松味利郎 間宮則夫 三橋俊雄
ミレーネ・メタルコワーマルコワ 宮崎 清 森芙美子 柳原敏夫
山上徹二郎 山口昌伴 山田淳夫 山田國廣 山田法子 四方田犬彦
レベッカ・ジェニスン 渡辺信喜