―あなたはどんな学生時代をすごしたか。
「ごく平均的な学生だったと思う。毎日の規則正しい登校は嫌いだったが、先生方や勉強する事は好きだった。とくに大学はとても興味深かった。刺激があり、学生に知識を与えると同時に、学生からアイデアを思い付かせるような教育が好きだ。教育とは、書籍からなにかを学ぶだけではなく、周囲の世界について学ぶことだ。そして、私は京都でもその機会を得た」

―ビルマの大学の現状を教えてほしい。
「今日ビルマの大学は閉鎖されている(注7)。権力者は大学を開くと学生間で問題が生じると神経質になっているからだ。これは社会の寂しい一面を映している。学生をおとなしくさせるために大学を閉鎖し続けなければならない国とは、容易ならざる問題を持った国と理解せねばならない。ビルマはそんな問題を持っているのだ。我が国の教育の水準はここ数年で着実に低下してる。かつて教育面で、ビルマは最も進歩的な国だったが、今では最も後進的な国になってしまった」

―あなたは日本で1年間生活されている。日本の学生や大学についての印象をお聞かせいただきたい。
「京都では研究者や大学院生と研究をしていたが、ビルマについて学んでいる学生にビルマ文学の講演を行うために他の大学を訪問したことがある。ビルマの学生と比較して、日本の学生は先生に対して尊敬の念が希薄であることに少し驚いた。もちろん日本の大学は、ビルマの大学はどこよりもはるかに設備は整っていた。だから、日本の学生はビルマの学生に比べて知識を得たり、教育を受ける機会が豊かであることは確かだ」

―あなたにとって自由とは何か。
「自由とは、潜在力を発展させるための機会だと思う。他人の自由を考慮した上で、であるが。自分自身の自由だけを考える事はできない。自分の自由が他人の自由を脅かすようなら、それは自由とは言えない。それは不正義だ。だから自由と公平は均衡がとれていなければならない」

―あなたは10年近くも、大変厳しい状況下におかれている。あなたの行動を支えているものは何か。
「私を支えてくれている要素は沢山ある。私が民主化運動をする理由は平和、自由、を基本的人権として信じるからだ。しかし同時に、信念に対して犠牲を払い、困難に直面する準備のできている人々や仲間がいるからでもある。そのことが私を前進させてくれるのだ。また私自身の父親、マハトマ・ガンジ−氏、ネルソン・マンデラ氏のような人々も私を勇気づけてくれている。また苦境、貧困や困難からの解放を願っているビルマの人々の存在も私を助けている」

―21世紀に活躍する若い世代にコメントをいただきたい。
「視野を広げ、同胞意識を持って全世界を受け入れる事、他人の困難を感じ取ることのできる、より大きな心を持つことが大切だと思う。自己中心的になることが最も恐ろしいことだ。世界で起こる残虐行為や悲劇は、自己中心的考えと、人間の諸問題に対する理解力の欠乏が根源となっている。だから、若者が持つべき目標は広い心を獲得することだろう」

―日本の大学生へメッセ−ジを。
「特に日本の学生は、広い心を持つように努力する義務がある。なぜなら、彼等はとても恵まれており、特権があるからだ。ビルマの学生にとって、日本の学生は他の惑星から来た人々のように見える。彼等はビルマ学生が生涯けして目にしないような物質的豊かさに恵まれていて、それを他者に与えるという責任を持っている。所持すればするほど与えるべき責任は一層増えてゆく。もしも、他人に与えようという意識が心の中になければ何も与える事はできない」

―今は無理だが、ビルマで民主化が実現した後、京都精華大学へお招きしたい。お越しいただけるだろうか。
「もちろん」

(注7 ) 今日ビルマの大学は閉鎖されている   back
軍事政権は民主化運動を封殺するため、96年以来大学を閉鎖している。