

リタ・ダウヴ 下げるな 目を まっすぐまえを見つめるさきは 君が向かっているはずのところへ つぶやくな しまった もうけっこう 職につけ あっちへ行け くたばっちまえ と 古めかしいサンダル 鉛のスカートをなん枚も すすけた頬と頬ひげ がらくたの装身具をごてごてと 彼女は我らのなかに立ちあらわれ ぶっきらぼうの非難 髪の毛をおさめたうえには安物の帽子 それを羽根と星とでこぎれいに飾り 一方の肩にかけ まとうのは にじ色の慈愛を幾層も そしてつぶやく あんたたちみんな ひとりのこらず わたるな 交差点の向こう側へ 考えるな 観光客にぴったりの つぎのアイテムなど 思ってもみよ 彼女の まなざしを 光るひたいを 街にふたたび慈愛をもたらした彼女 そして 共同墓地へお行儀よく引きさがりはしない その身に引受けたのは この街の 分厚い皮膚 砂ぼこりまみれの排気筒 あぶるような かすむ太陽 雨風にさらされた一張羅におさまる彼女 骨太で 断固たる 考えるな 無視できるなんて むだなことさ 彼女はてこでも動かない ただ彼女の居場所を認めるしかない 彼女に空のかんむりを 彼女は多くのうちの一人 我われの一人ひとりなのだから |