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"blooming" 中比良真子展


"blooming"
中比良真子展
2004年9月14日(火)〜9月19日(日)
"blooming" 中比良真子展 時間 11:00〜23:00
※最終日21:00まで
会場 neutron B1 gallery
〒604-8036
京都市中京区寺町通三条東入石橋町5-1
イシズミ三条ビル地下1階
Tel & Fax:075-211-4588
URL:http://www.neutron-kyoto.com/
出展者 中比良真子

残暑のまだまだ厳しい9月中旬(14日〜19日)、neutron地下1階ギャラリーにて、中比良真子『blooming』展が行われた。

中比良さんは今年、京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻を修了された。在学中は個展を2回、グループ展も数多く参加しており、現在職につかれてからも制作を続けている。

展覧会のDMに描かれていたのは、女の人の後ろ姿とその髪にからまりつく、髪と一体化しそうな朝顔とそのつる。そういえば朝顔のつるってパーマをあてた髪の毛みたいだな、などと思い、今回は写真かまたはグラフィックデザインの展覧会だろう思いながら会場に足を踏み入れた。しかし目の前に広がる作品たちは、白いキャンバスに人が手を加え新しい世界を表現した絵画だった。

まず入って一番に目に飛び込むのが、セミロング丈の髪の女性の絵で、両目から鮮やかというか、強烈な色のハイビスカスが咲いていた。他の作品も植物が身体の一部分から生えている、といった絵画で、その絵を目にして私の第一印象は、植物に体をのっとられた“スイカ男”のイメージだった。
きっとその時は、絵柄より植物が持つ力の大きさや怖さ(人間も分解してしまうような)が先走っていたのかもしれない。もっと落ち着いて見てみると、その花は美しく咲き誇り、たいがいは人の装飾として用いられてしまう花が、主役になっているようにも見える。

植物は生きること、美しい花を咲かせることだけに専念した単純なもの。しかしさまざまな目を気にしたり、さまざまな障害にぶつかったりしながら生きる私達にとっては、その単純さがどこかうらやましく感じるもの。身体から花を生えさせることで憧れの花に心をゆだね、心地よい空間を生み出したかった、と中比良さんは語った。
また、女性が特に美しく見せたい部分から花を咲かせることで、女性の心の内面までが花に表れているような雰囲気が感じられた。服飾の布のデザインの仕事をしてらっしゃるとのことだが、服のデザインに花柄模様が多いということに気付き、女性が感じる花の魅力について再認識したという。

中比良さんがこれまで制作してきたものは、身の回りにあるものたちに、人が加わることでどういう風景になるのかというもの。前回の個展では水の中に人が入ることによって成り立つ風景がテーマだった。二次元であるキャンバスに手を加えることで、三次元の世界を生み出すことのできる絵画の世界に、中比良さん自身も入り込み、見る人々にもさまざまな想像をしながら入ってきて欲しい、想像する可能性が広がるそんな絵が描きたいとおっしゃっていた。

今回の絵では、背景が白いことからすぐ後ろに白い壁があるかもしれないとかもっと奥行きのある場所かもしれないなど、全く二次元の世界から断絶されるような想像ができるのではないだろうか。 取材を終えて、今回は女性らしさの感じる絵に初めて出合ったような気がした。

人間であること、女性であることという当然で一番身近な事実と向き合って、制作を続ける中比良さん。絵画の魅力を再認識して今回の取材を終えた。 取材に応じてくださった中比良さん、ありがとうございました。

取材・撮影 / 今井奈津美 (人文学部)