アフリカ・アジア地域からグローバル社会を考える

いま、世界には約77億の人が暮らしています。アフリカ・アジア地域で暮らす人は、そのうち約7割。人口増加によって、30年後はもっと割合が高くなるかもしれません。多くの人にとって、彼らの存在は想像以上に大きくて身近なものへと変わっていくでしょう。アフリカ・アジア文化専攻では、今後のグローバル社会を考えるうえで無視することができないアフリカ・アジア地域の文化や社会を研究します。また、フィールドワークで現地を訪れ、そこで暮らす人と触れ合いながら学びを発展させる機会も設けています。異文化との交流のなかで興味関心を広げ、複眼的な視野と行動力を身につけることをめざします。

科目PICK UP

  • アフリカ美術

    近年、多くのアフリカ出身のアーティストが注目されています。この授業では、アフリカにおける美術やアートという概念について学び、同時に、アーティストとはどのような人たちであるのかを考察します。

  • 民族音楽論

    世界中、ありとあらゆる社会に音楽は存在し、それぞれの様式美があります。この講義では、まず、音楽理論を学び、各民族に独特の様式やパフォーマンスを分析。ある社会における音楽のあり方を理解することをめざします。

4年間のながれ

  1. 1年次

    FIRST

    海外経験も積みながら 自身の興味を深める

    まだ専攻に所属しない1年次。コミュニケーションを目的とした英語力の強化と、多様な国・地域の文化や歴史についてさまざまな知識を深めると同時に、海外での短期フィールドワークを行います。
    現地で異文化に出会い、経験した驚きや感動をもとに、2年次以降の準備を進めます。

  2. 2年次

    SECOND

    専攻に分かれてテーマを探求

    アフリカ・アジア文化専攻では、社会における民族文化や宗教、政治形態などについて事例を通し理解を深めます。社会に多大な影響を及ぼすさまざまな宗教について知り、人間について考察。地域を研究するための調査力を磨きます。

  3. 3年次

    THIRD

    研究テーマをもとに、世界各地での海外長期フィールドワークへ

    海外で最長6カ月間の現地調査に取り組みます。帰国後は、現地で集めた情報を整理し活動報告を行います。研究テーマは差別や環境汚染などの国際的な問題のほか、食文化やファッションといった身近な視点からも自由に設定できます。

  4. 4年次

    FOURTH

    卒業研究に取り組み、 現地調査で得た内容を形にする

    3年次までに深めた知識と得てきた経験をもとに、自分の研究してきたテーマを他者に伝わるように論理的に構成し、卒業論文として発表します。

4年間で身につく能力

  • 未知の世界へ飛び込み、困難を乗り越える力
  • 異なる文化を受け入れ、そこから新しい価値を生む力
  • 国境や言語などの枠を越えて「人」を見つめる力

卒業論文のテーマ例

 日本マンガはアフリカでどのように受け止められているか
 流行としての韓国文化と韓国コンテンツ産業の研究
 アフリカにおけるローカルNGOとソーシャル・ビジネスの新たな関係についての研究
 ナイジェリアにおける作品販売と「アート」の関係性

卒業後の進路

経験を武器にグローバル社会で活躍する
グローバル化が進む現代では、商社や貿易、観光業から、教育、NGO・NPOなどまで、グローバルな視点での問題発見・解決能力や海外と日本をつなぐ人が求められています。さらに、企業では利益の追求だけではなく社会貢献が新たなキーワードとなっており、ソーシャルビジネスやソーシャルデザインの分野での活躍も期待できます。

めざせる職業
旅行コーディネーター / 編集者 / 記者 / 学校教員 / NPO・NGO職員 / 研究者 など
 
主な就職先
旅行・観光企業 / 出版・Web情報配信 / ソーシャルビジネス関連企業 / 国際展開する企業(商社・メーカー・外資系企業) / NPO・NGO など

充実した就職サポート
京都精華大学では、着実にステップアップできるよう学年別のサポートや、幅広い進路に対応した充実のキャリア支援体制を築いています。
履歴書対策や面接対策など、個別指導も充実しています。

取得できる資格

 高等学校教諭一種免許状(公民)
 中学校教諭一種免許状(社会)
 図書館司書
 博物館学芸員 など

VOICE

  • 西地 花奈さん在学生

    アフリカの衣装から宗教や生活様式を知り、考える

    もともと海外の文化や民族・宗教に興味があったのですが、1年生の時にセネガルやブルキナファソなどアフリカ諸国の話を聞いて、より関心が強まり、アフリカ・アジア文化専攻を選びました。印象深いのは「先住民族研究」の授業で聞いた昆虫食の話。先生が現地の市場で食べたら、意外とおいしかったそうで、実際に体験することに一層興味がわきました。3年次の長期フィールドワークではセネガルに行く予定。今は研究テーマを構想しているところで、洋服や服飾と、宗教や生活動作の関係を調べたいと考えています。日本の着物や韓国のチマチョゴリもそうですが、服のデザインがそれぞれの国の文化や生活様式に合わせて異なるのがとても面白い。「世界の宗教」や「アフリカ美術」といった必修科目も構想のヒントになっています。私は大学生活を通じて、「答えのないテーマ」に向き合い、取り組んでいきたい。たとえば高校時代から関心を持っているジェンダーの問題。さまざまな人に話を聞き、地位や立場が異なることで意見がどう変化するか、もっと深く知りたい。知らないことに出会うとわくわくするので、将来は研究職に就けたらいいなと思っています。
  • 清水 貴夫教員

    より善い答えを求め 追究することで 胸躍る発見をしよう

    文化人類学という学問の調査では、調査対象となるコミュニティに入り、対象者と同じ生活を送り、その社会について学びます。私もブルキナファソという国で、いくつかの立場から現地調査を長く進めていますが、その中で最も深く関わってきたのがストリートの子どもたちです。私は、この調査を通して、子どもたちの成育と環境、だれが子どもたちを「ストリート・チルドレン」という枠組みに押し込めたのか、そして、私たちのイメージがいかに後付けのものであるかを問うてきました。しかし、ストリートの子どもたちをどのようにすればよいのか、ということについては、きっと一つの正解などはありません。大学以降における学びや研究は、このように、確たる正解のないものがほとんどです。たくさんの本を読み、人の話を聞き、批判を受けて自分の意見を再考する。こうして「より善い」答えを求め続けていくことが、いずれ皆さんが働く「社会」の発展の原動力になるのです。この作業は、時に砂漠の中で一つの小さな石粒を探すようなもの。ですが、意外なところで胸が躍るような面白い発見があります。こうした気持ちを多くの皆さんと共有できることを楽しみにしています。
  • 申 昌浩教員

    身の回りの小さな出来事から新しい発見を

    私のゼミでは、近代以後の東アジアの生活文化を研究します。私はいま「東アジアの日傘」を研究していますが、きっかけは伝統的な文化だけでは発見できなかった新しい風俗の成立に興味を持ったこと。当時の「モダンガール」のアイテムだった日傘を通して、近代東アジアの変化と西洋化を見つめなおすことは、新鮮な驚きがあります。このゼミでも、みなさんの身の回りにある小さな出来事に対して関心をもち、新しい発見をしてほしいですね。