原研哉(グラフィックデザイナー) 「感覚の世界地図をひろげるデザイン」 (2005.12.01 at 京都精華大学黎明館201教室)

講演要旨
デザインの問題はデザイナーの問題ではない。デザインはある土壌に生えた樹になる「実」のようなものであり、「実」は土壌の品質の反映でもある。つまりデザインはそれを享受する生活者の意識の成熟が、デザイナーの意識の成熟と同様に重要である。
また、デザインの新しい領域を開くのは、色や形といった造形的な側面だけではなく、人間の感覚の地平をひらいていくという側面も重要である。いかなるデザインを生み出すかという問題は、「いかにそれを感じ得るか」という知覚の問題と一対になることで、ひとつ豊かなステージに進むことができる。今回の講義では、上記のような観点をいくつかの具体的なプロジェクトを紹介しながら解説していくものである。
ポスター

プロフィール
原研哉(HARA Kenya)
1958年生まれ。グラフィックデザイナー。日本デザインセンター代表 。武蔵野美術大学教授。
日常を「未知化」する視点から、多方面で新鮮なコミュニケーション・プロジェクトを生み出している。長野オリンピックの開・閉会式プログラムや、2005年愛知万博のプロモーションにおいては、日本文化に深く根をおろすデザインを展開。商品デザインでは、ニッカウヰスキー、AGFをはじめ、日本各地の酒と米の仕事を手掛けている。
また、松屋銀座リニューアル計画では、空間からグラフィックを横断する複合的なデザイン・ディレクションを実践。梅田病院、刈田総合病院サイン計画では触覚性を意識した新しいコミュニケーションの可能性を示した。
一方、展覧会「建築家たちのマカロニ」「リ・デザイン-日常の二十一世紀」「HAPTIC-五感の覚醒」ではプロデューサーとして多くのクリエイターの参加による展覧会を統括。「リ・デザイン展」は現在、世界各都市を巡回しており、同展で2000年世界インダストリアルデザインビエンナーレ(インダストリアル・グラフィック両部門)大賞、および2000年度毎日デザイン賞を受賞した。
2001年より無印良品のボードメンバーとなり、その広告キャンペーンで2003年度東京アートディレクターズクラブ賞グランプリを受賞。書籍に関連するデザインでは講談社出版文化賞、原弘賞、亀倉雄策賞、一連のデザイン活動に対して日本文化デザイン賞を受賞するほか内外で数多くの賞を受賞している。
近著「デザインのデザイン」(岩波書店)は昨年度のサントリー学芸賞を受賞しており、デザインの分野を越えて多くの読者を持つ。

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